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米老舗メディアも「A+の評価に値する」と絶賛も…ドジャース・佐々木朗希の“魔球”が輝く条件は?「NPBでは見られなかった制球の乱れが…」 

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一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

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posted2025/05/02 06:01

米老舗メディアも「A+の評価に値する」と絶賛も…ドジャース・佐々木朗希の“魔球”が輝く条件は?「NPBでは見られなかった制球の乱れが…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

他の投手と比べても図抜けた特徴を持つロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希のスプリット。その「魔球」をピッチングに活かすことはできるか

 もう一人、制球力の大切さを体現しているのが35歳でメジャーデビューした“オールドルーキー”ボルティモア・オリオールズの菅野智之だ。球速は150キロに届くかどうか。それでも今季は既に3勝。平均140キロ台後半の速球でゾーンを突き、緩急で目線を外す。ゾーンの使い方を知り尽くした“老獪な戦い方”があるからこそ、メジャーでも勝てている。

 メディアはどうしても目立つ三振数や防御率で投手を評価しがちだが、端的に言えば、少なくともいまのメジャーでの活躍は、「制球力次第」という側面が大きい。その意味では少しずつ希望も見えてきている。

いまの佐々木には「球速より制球」

 デビュー当初50%台だった佐々木のストライク率は、最近では60%を超え、上述のパイレーツ戦ではメジャー移籍後、自己最多の93球を投じた。これは単なる球数の話ではなく、MLB流にフィットし始めた“変化の兆し”でもある。

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 日本では120球以上投げる先発も珍しくないが、MLBでは100球前後での降板が主流。中4日ローテの中で「100球=先発の責任」という文化に、佐々木は今、身を慣らしている最中だ。

 ボール、マウンド、文化、ピッチクロック──すべてが初体験。その中で佐々木は、自分の投球をイチから組み立て直している。実際、ドジャースも佐々木については球速よりも制球を重視する方向で調整を進めており、スプリットやスライダーのゾーン内での有効性に焦点を当てている。

 23歳の佐々木は同じドジャースの山本由伸のように、完成された姿でメジャーに来たわけではない。その山本でさえ最初はMLB特有の感覚に微調整を強いられた。順応には、それよりも長い時間を要するかもしれない。

【次ページ】 「魔球」を支配できるようになるのは?

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