- #1
- #2
マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「あながち無理とも言えない」東大の“サブマリン2世”渡辺向輝(21歳)に指名はある? スカウトが語ったリアル評「“ある懸念”が払拭できれば…」
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2025/04/29 11:02
春の六大学野球リーグの明治大戦で9回2失点完投の好投を見せた東大4年の渡辺向輝。父は元ロッテや日本代表で活躍した俊介さんだ
その名を「渡辺俊介」といい、そののち国学院大学、新日鉄君津を経てプロ野球に進み、球界を代表するサブマリンとして13年の現役生活で255試合に登板して87勝(82敗)を挙げ、今は、社会人野球・日本製鉄かずさマジックの監督として指揮を執る。
サブマリンとは「潜水艦」のことであり、野球ではアンダーハンド投手の別称である。
ギリギリまで水面下に潜って戦うのが仕事のサブマリンだから、アンダーハンド投手も、やはりギリギリまで「浮上」を我慢できるほうが、球筋に「低さ」が出て打ちにくい。
ADVERTISEMENT
私は高校時代、都内ナンバーワンといわれたアンダーハンドと3年間バッテリーを組んでいたから、その点は間違いない。
渡辺俊介投手のご子息・向輝投手には、その「低さ」がある。
指を擦りむくこともあるんじゃないかと心配になるほどの地面スレスレからボールをリリースし、そこから打者の胸あたりにホップして見える速球の生命力が素晴らしい。
東大の「2世」サブマリン…プロスカウトの評価は?
長身投手が高い位置から投げ下ろす速球の「タテの角度」も打ちにくいが、逆に、極めて低い位置からホップしてくるような角度も、同様にとても打ちにくい。
明治大打線を相手にした渡辺投手、そうしたアドバンテージを存分に味方につけるピッチングで、強打線を最後まで苦しめた。
ふっと思ってスカウトの方に訊いてみた。
「こういうタイプのピッチャー、今のプロ野球でどうでしょう?」
<次回へつづく>

