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「俺はチャンスのときしか集中できん」新庄剛志が阪神タイガースに残したもの… 盟友・坪井智哉が明かす新庄秘話「ツーさんは率には興味なくて…」
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熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/05/16 18:24
阪神時代の新庄剛志。2000年には打率.278、28本塁打、85打点の成績を残した
「ツーさんは率にはまったく興味がなくて、チャンスのときにしか燃えない。2アウト、ランナーなしで打席がまわってきたら、もう全然ヤル気ないんですよ。実際に『俺はチャンスのときしか集中できんから』みたいなことを言ってましたから」
坪井が塁上から見つめる打席での新庄には、「うわー、これは打ちそうだわー」と思わず鳥肌が立つようなオーラが立ち昇っていた。1番バッターの坪井が塁上にいる。それは多くの場合、4番の新庄にチャンスがまわったことを意味するからだ。
「ですからバットに当たった瞬間、ぼくはスタートを切らなきゃいけない。そのイメージを描いて塁上にいたんです」
チャンスに強い理由
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数字を追いかけたわけではないのに、数字が残った。それが2000年の新庄だったが、打席を選ぶ男には意外とストイックなところがあった。
「ツーさんはものすごく練習するんですが、本人はそんなふうに思われたくない。『チャラチャラしてるよ、努力なんかしてないよ、でもチャンスになったら打っちゃうよ』というキャラづくりをしていたようなので、練習しているところをちょっとでも見られると、口の前に人差し指を立てて『言うなよ』と口止めしてくるんです」
緻密なセルフプロデュースによって新庄は汗や涙と無縁のヒーロー像を確立し、その一方で「実はとんでもなく練習しているらしい」という声が都市伝説のようにささやかれることになった。
しかし坪井は、猛練習をするのが新庄だけではないことを知っている。
「ツーさんはたしかにたくさん練習して、マシンバッティングをするときの集中力には近寄りがたいものがありました。とはいえ、この世界には隠れて練習している選手はいっぱいいて、ツーさんよりもめちゃくちゃ練習する選手がいっぱいいるのも事実なんです」
となると、チャンスにめっぽう強いところはいったいどこから来るのだろうか。
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