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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「僕のせいで、すみません」斎藤佑樹は冷静だった…日ハム決定のドラフト会場で記者が殺到「名刺が一瞬で消えた!」広報が見た“フィーバー”の実像
posted2025/05/17 11:01

札幌ドームで入団会見を行った斎藤佑樹。平日にもかかわらず8000人ものファンが集まったという
text by

熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
JIJI PRESS
2010年、北海道日本ハムファイターズはドラフト1位で斎藤佑樹を指名し、交渉権を獲得した。甲子園の「ハンカチ王子」にして、六大学のスターというスーパールーキーの入団で巻き起こったフィーバー。そのなかで、斎藤佑樹という男はどう振る舞い、どう成長していったのか。当時を知る仲間たちに、いま改めて斎藤の「スーパールーキー」ぶりを語ってもらった。〈NumberWeb特集「スーパールーキー伝説」:全2回の1回目/つづきを読む〉
2010年ドラフト会議
交渉権を獲得した選手たちの経歴が書かれたリリースを抱え、ドラフト会場の記者控え室に入っていった畑中久司は、あっという間に記者たちに囲まれた。
「ぼくがファイターズの広報だとわかると、みなさん集まってきて名刺交換の列ができたんです。名刺は一瞬でなくなり、携帯が電話とメールでひっきりなしに鳴り始めました。『これはフィーバーだ』と実感しました」
このとき畑中は、北海道日本ハムファイターズの職員になって1年目。つまり、広報として初めて経験するドラフトで、球団は“ハンカチ王子”斎藤佑樹を引き当てた。そして史上空前の狂騒曲の幕が上がる。
札幌ドームでの公開入団会見
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斎藤の入団会見には、その知名度、人気に見合った札幌ドームという大舞台が用意された。12月9日に行なわれたドームでの公開入団会見には、平日にもかかわらず8000人という予想を上回るファンが集結する。
ドーム会見に合わせて限定販売された、交渉くじを引き当てた藤井純一球団社長(当時)の「持ってる男」グッズは瞬く間に完売。ドーム近隣の店では斎藤関連書籍の即席売り場が設けられ、遠目でも斎藤を見られるようにとオペラグラスまで売り出された。