「俺が『使うな』と言えば、どの球団も…」“巨人4位指名を拒否→ドラ1でプロ”を目指した異色選手の物語…心を折られた「球界の寝業師」からの一言 

　午前中が終わる。いよいよ高卒選手がメインとなる午後の練習となっても顔を出さず、パチンコ店へと向かう。20歳になった2年目になると、夜になれば繁華街に繰り出し酒を飲み、女と遊ぶ。瀬戸山は“飲む・打つ・買う”の王道を走るようになった。

「走攻守じゃなくて、そっちの三拍子が揃っちゃいましてねぇ」

　茶目っ気のある冗談を用いて笑みを浮かべる瀬戸山は、「でもね、一日中、野球をしていたわけですから、なんだかんだ言って練習はするわけですよ」と選手の顔も覗かせる。

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　入社時には早稲田大の金森栄治、慶應大の堀場秀孝と、のちにプロに進む先輩キャッチャーがいたが、高校時代に巨人のスカウトを唸らせた肩には自負があった。そこにショートとセカンドの先輩から、盗塁された際に「俺たちが投げやすい場所に投げろ」と、半ば強制のようにスローイングの正確性を求められたことで技術も向上していった。

当時を振り返る瀬戸山さん。現在は63歳になった　©Genki Taguchi

　そして瀬戸山は、高卒ながら2年目になると試合で起用された。正捕手の座を掴んだ3年目には、社会人野球の一大イベントである都市対抗野球の舞台に初めて立った。

3年目から正捕手も…課題は「打撃力」

　3年目と言えば、高卒の社会人選手がドラフト会議で解禁されるわけだが、瀬戸山は指名されなかった。

　というのも、この時点でスローイングやキャッチングなどの守備面は、プロから「即戦力」と評価を受けていたものの、下位打線を担っていたことからも分かるように、バッティングが課題だったからだ。

　そんな瀬戸山にもプロ入りのチャンスがなかったと言えば、そうではない。

　4年目のシーズンが始まる頃、西武から期待する若手選手とともに海外への野球留学を勧められた。ここでのアピール如何によって、それこそ西武のドラフト候補として見込まれる可能性も浮上するわけだ。

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