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野球のぼせもんBACK NUMBER
「ソフトバンクの様子がおかしい…」じつは2月にあった“王者の異変”…甲斐拓也の移籍でも、近藤健介の離脱でもない“ある原因”「MLB流の落とし穴」
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/07 17:01
“4272日ぶり最下位”に沈んだソフトバンク。現地記者が見た王者の異変とは
2月中旬のキャンプ合流はMLBのスケジュールと似ている。現在のソフトバンクのチーム作りや環境整備などは“MLB流”に近く、それに倣ったのかもしれない。
欠けた緊張感…番記者はこう見た
だが、MLBの場合2月中旬に始動するが、キャンプインした段階で選手の状態は“ほぼ出来上がって”おり、ほどなくして実戦に入っていく。ドジャース・大谷翔平を例にとってみる。今季は投打二刀流の復活を試みるとあって2月12日(現地時間)にバッテリー組でキャンプイン(野手組は15日)。その後23日にはライブBPで打席に立ち、28日にはオープン戦に出場していた。
単純比較ではあるが、ソフトバンクS組はスロー調整すぎるのではないかと映ったのだ。
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また、チームが望んだ若手の台頭は期待ほどの結果を得られなかった。首脳陣から目を配られ、チャンスも与えられた。だが、S組を脅かすような生きのいい選手は現れなかった。やはりチャンスは与えられるものではなく、つかみ取るものなのか。令和の世でも、それは古き良きものとして考えた方がいいのかもしれない。
チームが緩んでいたとは言わないが、これまでに感じていたこの時期特有の緊張感という意味では物足りなかった。球団は来年以降もS組継続に積極的だが、中身については精査をすべきではなかろうか。
開幕ダッシュに失敗したとはいえ、ソフトバンクが地力に勝る集団なのは間違いないところ。ペナントレースが始まると、当然ながらチームの雰囲気もピリッとしてきた。試合を重ねていく中で本来の状態に戻っていくだろう。心配のタネは、今、上手くいかないことに焦ってしまい「形」を崩してしまうことだ。変にこねくり回すと、本来あるべき姿が完成しなくなる。
チーム状態が上向くまで首位から離れずに我慢できるか――。

