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大谷翔平に「迷惑をかけたくない」地元・岩手県奥州市の“節度ある距離感”とは? 応援団の担当職員「大谷選手で市の広報はしません」現地のリアル
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/19 17:30

“日本の顔”のひとりとなった大谷翔平。地元・岩手県奥州市の人々は、どんな距離感で大谷の活躍に接しているのだろうか
「たとえばご高齢の方なら自分の孫を見るような、子どもたちにしてみれば、かっこいい先輩を見るような……。その目線は、地元ならではのフィルターがかかっているかもしれません。実際に同じ学校に通ったり、一緒のチーム(水沢リトル)でプレーしていた人もいますし、心の距離がすこし近い。もちろん活躍すれば嬉しいです。でも結果がふるわなかったときも、次はぜひ頑張ってほしいとあたたかい目で見ている。そこは地元のいいところだと思います」
「大谷の名前に便乗しない」地元の節度ある距離感
奥州市役所をあとにして、大手通りから県道113号沿いにかけて水沢の街を散策する。平日の午前中ということもあってか、人通りは少なく、閑散としている。至るところで大谷のポスターやふるさと応援団のステッカーを目にすることができたものの、それもごくさりげないもので、率直に言って「大谷フィーバー」という雰囲気ではない。
市内で幾人かに話を聞いた。誰もが大谷の活躍を喜ばしく思っていたが、必ずしも熱狂的ではなく、東京で目にする報道の過熱ぶりとは温度差があるようにも感じられた。ある男性は淡々とした口ぶりで「大谷さんはすごいけど、私たちが偉くなったわけじゃないからね」と話した。
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誰もが知るヒーローの出身地でありながら、そのことを強く押し出したり、大谷の名前に便乗したりはしない。それがワールドシリーズ優勝直後の奥州市のリアルだった。
その事実を踏まえたうえで、もうひとつ、訪ねたい場所があった。大谷翔平の「詳しすぎる年表」を展示しているという、奥州市立胆沢図書館だ。
<後編へ続く>
