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バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川祐希よりも高橋藍よりも早い「高3でイタリア留学」なぜ実現? 男子バレー期待の18歳川野琢磨は何を得たのか「お手本がいっぱいあった」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/03/08 11:03
イタリア・セリエA、ピアチェンツァに留学した川野琢磨(18歳)。すでに東京グレートベアーズの強化指定選手に登録され、春には早稲田大学へ進学する
駿台学園で学んできた技術や知識は「イタリアでも活かされている」と感じているからこそ、もっと先、もっと上を目指すために何を壊し、取り入れるべきか。幸い、ピアチェンツァにはそれを学べる絶好のお手本と言うべき、先生たちが多数いた。取材に訪れた日も、全体練習を終えた後にサーブ練習をする川野のもとにコーチが歩み寄り、打点やトスについて身振り手振りで教える姿があった。
川野は目を輝かせながら語る。
「僕はハイセットを打つ時に(助走を)開きがちなんですけど、マー選手から『もっとスタート位置を前にして、開かずにステイしてボールをちゃんと見てから打ったほうがいい』と言われたり、サーブの時も『もっと前から、トスも前に上げたほうが力が乗る』と。レシーブの位置も打球の重さや速さが違うので、今までと全く違う。そのたび『もっと後ろで守ったほうがいい』と教えてくれて、やってみるとそのほうがいいと実感するので、毎日本当に学ぶことだらけです」
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高校生でJVAから海外派遣されるケースが初めてならば、五輪を2度も制したフランス代表のブリザールのトスを打つ日本人選手も、おそらく川野が初めて。
「コートの後ろからでもピュンって簡単にオーバーで持っていくし、とにかくパス力がえぐいです。取る位置が高いから、そこから(ボールが)出てくるのも速いのかな、と思っていたんですけど、実際は結構間をつくってくれるので、高くて伸びるし、打ちやすい。このトスを打つのは日本人で初めてなんだ、と思ったら、うわ、打てた、すごいな、みたいな感じでした」
高校生で世界を体験する。日本にいたら感じられなかった課題と直面することで、視野は広がり、目指す位置も高くなる。
「今までは考えなかったですけど、今回イタリアで経験して、海外でもっとやってみたいという選択肢も増えたし、日本代表にも入りたい。攻撃はもちろんですけど、この高さで世界と戦うためにはディフェンスもできないといけないし、どんな打球も弾かれない身体もつくらないと通用しない。大学でももっとトレーニングをして、たくさんのことを勉強しなきゃと今まで以上に思うし、何より、プレーも身体も周りから『イタリアで変わったな』と思われるぐらい成長して帰りたいです」
もっと逞しく、強くなる。明るい未来へ、大きな一歩を踏み出した。
〈前編から読む〉

