石川祐希よりも高橋藍よりも早い「高3でイタリア留学」なぜ実現？ 男子バレー期待の18歳川野琢磨は何を得たのか「お手本がいっぱいあった」 

　日常生活やコミュニケーションの面で新たな学びや刺激を受ける。だが、それ以上に日々学ぶのは、バレーボールについて。

　6対6の実践練習は後衛ローテだけの参加に限られるが、アップ時のツーボールゲームやスパイク練習までは川野も混ざって同じ練習に参加する。見方によってはお客さん扱いのように映るかもしれないが、その場にいて見ることが川野にとっては何よりの成長要素になる、と断言するのは駿台学園の梅川大介監督だ。

「彼は頭がいいので、世界トップの選手たちを見るだけで、自分もこうやっていけばいいんじゃないか、と感じられるはずです。まず取り組むべきは身体をつくることなので、世界のトップ選手がどんなトレーニング、食生活をしているかというのもそうですし、自分に何が必要か。もっと今以上に強くボールを叩けるようになった時、ケガをしないためには身体をつくらないといけない、と実感するでしょうし、あの身長で技術もある選手なので、まずは目で見て、頭で学ぶこと。彼の将来を考えたら、これ以上ない経験ですよ」

大きいだけじゃ世界では通用しない

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　背中を押してくれる恩師の読み通り、川野はイタリアで課題に直面していた。

　高校バレー界では圧倒的な高さがアドバンテージになったが、世界に踏み出せば決して特別な長所にはならない。トレーニングや食生活に気を配ってきたが、チームメイトの身体つきを見れば比べるまでもなく細い。日々のスパイク練習の中で、川野は自らに何が足りないかを痛感していた。

世界を肌で感じたことで、自らの課題も明確になった　©︎Takahisa Hirano

「こっちの選手は大きいだけじゃなくて動きも俊敏でパワーもある。スパイクも僕は全然力が乗っていないので、体幹を鍛えて筋力もつけなきゃ、って。スパイクフォーム自体も石川（祐希）選手みたいにサーキュラー（スイング）に変えたほうがいいかな、とか。自分に何が合うのか。（イタリア代表のアレッサンドロ・）ミキエレット選手のように（腕を）引いて打つタイプでも、これだけ力強いのは何でだろう。どうやって打って、どう決めているんだろう、と実際の試合や映像を見ながら、今まさに、いろいろ考えているところなんです」

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