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太田蒼生、黒田朝日、若林宏樹…青学大がマラソンで続々活躍vs.駒澤大は真逆の“静かなるケニア式育成”…将来世界で戦えるのはどっちだ?
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佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2025/03/04 11:00

東京マラソンで力走する太田蒼生。この冬、マラソン界の話題をさらった青学大に対し、静かだった駒澤大はどんな動きをしているのか?
マラソン挑戦の身体的ダメージというリスク
大八木総監督がそういう流れを重視し、学生のマラソンに踏み込まないのは、キプサングが指摘したように、身体面の負担を考慮しているからでもある。神奈川大の大後栄治前監督も語っていたが、グリコーゲンが枯渇するまで走るマラソンは、身体的なダメージが極めて大きい。そのために疲労やダメージを抜くのに時間を要し、選手によってはそれが体の深部にまで届き、なかなか回復せず、調子を取り戻せないケースもある。
駒澤大の藤田敦史監督は学生マラソンの経験者だが、社会人1年目は故障もあって苦しんだ。2年目の12月の福岡国際マラソンで優勝して復活したが、そこまでに2年近くの時間を要している。
青学大の若林は引退するが、黒田は大阪マラソンで出し切った走りを見せた。いったい、どのくらいの疲労感を感じ、それが今後にどう影響していくのか。春からのシーズンの黒田の走りを見てみないと何とも言えないが、そういうリスクもあるということだ。
青学大と駒澤大の対照的な取り組み
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青学大と駒澤大、どちらの取り組みにも良い悪いはなく、現時点での正解もない。
今後、どちらの取り組みもしっかり見ていく必要があるだろう。個人差はあるだろうが、青学大の選手が卒業しても活躍し、世界陸上や五輪などの世界大会に結びつけられるように大成していけば、これはひとつの強化の手法として高く評価されるはずだ。
一方で、駒澤大OBの田澤廉(トヨタ)や鈴木芽吹(トヨタ)、富士通に入社予定の篠原らに加え、Ggoatの太田智樹(トヨタ)が世界基準のスピードを身につけ、マラソンに転向した時、どんな結果を出すのか。青学大の学生たちのようにトップ集団で争うのはもちろん、ケニア、エチオピア勢とも戦えるようになっていけば、卒業後の強化策として、よりクローズアップされていくことになるだろう。
青学大と駒澤大のマラソンへのアプローチは真逆だ。だからこそおもしろい。その成果は、これから4、5年後に見えてくるはずだが、果たして……。
