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太田蒼生、黒田朝日、若林宏樹…青学大がマラソンで続々活躍vs.駒澤大は真逆の“静かなるケニア式育成”…将来世界で戦えるのはどっちだ? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/03/04 11:00

太田蒼生、黒田朝日、若林宏樹…青学大がマラソンで続々活躍vs.駒澤大は真逆の“静かなるケニア式育成”…将来世界で戦えるのはどっちだ?<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

東京マラソンで力走する太田蒼生。この冬、マラソン界の話題をさらった青学大に対し、静かだった駒澤大はどんな動きをしているのか?

もし篠原倖太朗がマラソンを今走ったら?

 エースの篠原倖太朗がマラソンに出走すれば、おそらく黒田朝日と同じぐらいのレベルで走れるだろう。だが、そこにあえてチャレンジしないのは「今じゃない」という明確なビジョンが見えているからだ。

 世界で戦うには体力面、スピードなど下地作りが重要だという認識で監督と選手が一致している。とりわけスピードの重要性については、彼らにアメリカや欧州などでの海外経験が多く、そこで世界を制するためにはスピードが不可欠だということを学んできていることも大きいだろう。

ケニアに似た育成スタイル

 大八木総監督のスタイルは、ケニアの育成強化方法と似ている。

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 ケニアの多くの選手も10代から20代半ば過ぎまではトラックでスピードを磨き、その後、マラソンに転向している。

 ウィルソン・キプサングとエリウド・キプチョゲは、ともに28歳からマラソンを始めた。キプサングは、「ケニアでは27、28歳からマラソンを始めます。20歳前半のころはクロカンを走ったり、ハーフマラソンを走っていました。その頃からマラソンをやりたいと思っていましたが、身体とメンタルがビルドアップする時間を十分にとりたかったのです。20代前半でのマラソン挑戦は体への負担が大きいからです」と語っていた。

 キプチョゲもまさにそうで、5000mで北京五輪の銀メダルを獲得するなど、まずスピードを磨き、満を持してマラソンに移行。その後、リオ五輪と東京五輪のマラソンで連覇を果たすなど、世界最高のマラソンランナーに成長した。

 ケニアでは、競技を線でとらえている。すべてが延長線上にあり、段階を踏み、経験を積むことで、その後の伸び代が見込める。体と心の成長とともにトラック、ハーフ、クロカンなどの種目に挑戦し、インターバルやスピード練習、距離走などさまざまな練習を組み上げて、マラソンという完成形に近づけていく。

【次ページ】 マラソン挑戦の身体的ダメージというリスク

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