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「ほ、ホントにご本人ですか?」ダルビッシュから突然の連絡→球速160キロに→ドジャース入団…元DeNA北方悠誠「嘘のような本当の逆転人生」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byYujo Kitagata

posted2025/02/22 11:16

「ほ、ホントにご本人ですか?」ダルビッシュから突然の連絡→球速160キロに→ドジャース入団…元DeNA北方悠誠「嘘のような本当の逆転人生」<Number Web> photograph by Yujo Kitagata

驚きの申し出からダルビッシュの教えを受けて、ドジャースとの契約に至った北方悠誠。大逆転人生を語りつくした

 ダルビッシュからのアドバイスを信じて続けていくと、体は確かに変わった。今までは肩だけで投げているイメージだったが、体全体を使えるようになった。できなかったことの習得。そして彼がもともと持っていた球速が持ち直してきたのも、この頃からだった。

ダルビッシュの教えで球速は159キロに

「ダルビッシュさんという偉大な方が言うんだから、やるしかないという気持ちになりました。信じられるものを感じたから、できたんだと思います。

 ダルビッシュさんからはいろんなことを聞きましたけど、トレーニングをしたことによって体を“扱える”ようになりました。どんどん、自分がイメージしているように体が動かせるようになって、球が戻ってきた。それまでは自分の力だけでやっていたので、思うように動かせなかったんです。それが、トレーニングで自分の力以上の力がついて、フォームがどんどん安定していきました」

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 1年で約2キロずつ球速が上がっていった。2019年に栃木ゴールデンブレーブスに入団する時には、ストレートの球速はNPB時代を超えて、キャリア最高の159キロを計測していたという。信じられないような大きな進化を遂げていた。

 その2019年が運命の時となった。

160を出せば声がかかるかもしれない

 それまでに3回挑戦して、トライアウトの受験資格をすでに失っていた北方は、目標をNPB球団の契約ではなく自身の成長に置き換えていた。

「160キロを出すことを目標にしていました。それを知った人から何か声をかけてもらえればと」

 そして、実際に北方に目をつけたのが、海の向こうにある人気球団、ロサンゼルス・ドジャースだった。

 実は、NPBのある球団も獲得調査に動いていたという。しかし、北方の調子の上下動をもう少し見たいという事情で、契約は保留状態だった。そんな間隙を縫って、4月下旬にドジャースが視察に訪れたのである。

「間違いなく挑戦した方がいい」

「ちょっとスカウトが見にくる程度なのかなって思っていたんですけど、そのときの試合で160キロが出ていたみたいで、即契約という話になりました。

 3人の方に相談して。一人が親で、一人が栃木で一緒にプレーした西岡剛さん、そして、ダルビッシュさん。西岡さんからは『行って揉まれてこい』と言ってもらいました。ダルビッシュさんからは『間違いなく挑戦した方がいい』と」

【次ページ】 計画的なアメリカのトレーニング

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