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「ほ、ホントにご本人ですか?」ダルビッシュから突然の連絡→球速160キロに→ドジャース入団…元DeNA北方悠誠「嘘のような本当の逆転人生」
posted2025/02/22 11:16

驚きの申し出からダルビッシュの教えを受けて、ドジャースとの契約に至った北方悠誠。大逆転人生を語りつくした
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Yujo Kitagata
かつての先輩からの連絡に北方悠誠は耳を疑った。
ベイスターズを3年で戦力外になり、ソフトバンクを経て独立リーグを転々としていた北方に、ベイスターズ時代の先輩・高森勇旗から電話があったのは2016年のオフのことだった。
本当に本人からですか?
「本当に本人から連絡いただいたんですか? って。偽者じゃないんですか、って聞きました」
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高森が「びっくりすると思うけど」と前置きをして伝えてきたのは、「ダルビッシュ有さんがお前と練習したいって言ってるよ」という信じられない一言だった。ダルビッシュとはそれまで一度も接点がなかった。まさか、現役バリバリのメジャーリーガーから独立リーグのいち選手に声が掛かるなど、普通は想像もできないだろう。
高森の紹介を受けて直接連絡すると、東京都内のジムで練習を行うことになった。そこには本当にダルビッシュの姿があり、大谷翔平ら多くのプロ野球選手たちも、入れ替わり立ち替わり、一緒に汗を流していた。
大谷、藤浪、田中…なんで僕なんやろ
「本物のダルビッシュさんがいて、ずっと東京で1カ月半くらい練習をさせてもらったんです。藤浪(晋太郎)くんも、僕と同じように毎日来ていました。他にも田中将大さんなどもいましたが、NPBかMLB所属でないのは僕だけでした。なんで僕なんやろっていうのは、今でもよくわからないんです(笑)」
ダルビッシュから学んだのは、ウェイトトレーニングの基本だった。複雑なことをしたわけではなく、「これをやっておけば、いい球を投げられるようになる」という偉大なメジャーリーガーの言葉をただただ信じた。それまで真剣にウェイトトレーニングをやってこなかった北方が、大きく変わる出来事だった。