「箱根は厳しい。でも（早大は）優勝しますよ」瀬古利彦が断言…その根拠は？ 40年前の箱根駅伝「奇跡の連覇」から連なる“早稲田の系譜”ウラ話

　1984年の箱根駅伝。優勝を狙う早稲田大の1区に選ばれたのは、2年生の田原貴之だった。

「集団で走るのは割と得意で、大崩れしないで走り切るのが私へのミッション。六郷橋を越えて押し切る。5位でしたが先頭からそれほど、離れていなくて、坂口（泰、4年）さんに渡した瞬間に、よし、とみんな思ったと言ってくれました」

　2区のエース坂口でトップにたった。

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　5区の金哲彦（2年）はレース直前に貧血になって調子を落としていたが、なんとか間に合った。しかし前年の記録より20秒以上悪く区間賞も取れなかったので、中村からは誉められなかったという。

　1年の時も2年の時も金は中村に校歌を歌ってもらったという。

「クライマックスですよね。しゃがれ声で。ジンと来ますね。一人で走っているけど駅伝はみんなで走っているし、学校の名誉もかかっているという気持ちになります」

　川越学（2年）も2年続けて8区を走った。

「緊張もなく、自信がありましたね。8区は遊行寺の坂がキツいんで、そこをどう走り切るか。坂の練習は東宮御所の周りを回って慣らしました」

2位に15分差の圧勝で「30年ぶり」総合優勝

　2区以降はそのまま全員が思い通りの走りができて完璧なレース。

　10区を任された遠藤司（3年）は、順大・日体大よりも「後ろで来てほしい」と内心、思っていたという。

「相手を抜くことに陸上競技の醍醐味がある。高校の時にラジオで『何人抜き！』とか聴いていると、血が騒ぎました。競り合った方がやりがいはあります」

　逆転していいところを見せたいと思っていたが、勝負はすでに往路でついていた。

1984年の箱根で実に30年ぶりとなる早大総合優勝のゴールテープを切った遠藤　©KYODO

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「監督からの労いは、特にはなかったです（笑）。監督の家で簡単な祝勝会、夕食を食べて終わりでした。僕は復路を走ったばかりでしたが、外苑を数周走った。ゴールした瞬間にこのレースは終わりで、すぐに次のレースが始まっているということです」

　中村の家での小宴の後、田原も走ったと言う。

「ステーキをいただいてビールを飲んで、千駄ヶ谷組が後片付けをした。復路を走った選手も外苑を2、3周していましたよ（笑）」

　数日たって、大学が祝勝会を開いてくれたという。そして中村監督のポケットマネーで箱根の温泉に連れて行ってもらった記憶があるという。

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