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1年前は「野球を辞めようと」DeNA中川颯の“人間万事塞翁が馬”…「スタンドがキラキラしていた」初勝利→日本一「こんないい年になるなんて」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2024/12/02 11:02

1年前は「野球を辞めようと」DeNA中川颯の“人間万事塞翁が馬”…「スタンドがキラキラしていた」初勝利→日本一「こんないい年になるなんて」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本シリーズ第5戦、9回に登板して力投する中川

 プロ初先発に初勝利、初ホールド、初セーブなど、初物づくしとなったプロ4年目。さまざまな役割を担いチームの勝利に貢献したが、もし後悔があるとすれば何だろうか。

「やはり先発ですかね。経験が少ないからこそ、もう少し、なにか掴みたかったですね。感覚というか。そこがわからないまま終わってしまったんで……」

手痛い洗礼を受けた先発の経験

 4月4日の阪神戦(京セラドーム大阪)で、プロ初の先発マウンドに上がると、その後一旦リリーフにまわり、同30日の中日戦(バンテンリンドーム)で再び先発を務め初勝利を飾った。しかし先発3試合目の阪神戦(横浜スタジアム)では3回9失点と手痛い洗礼を受けてしまう。

「不運なヒットとかもあったんですけど、そこで流れを止めきれなかったというのもありますし、どうしていいのかわからない状況になってしまったんです。パニックというか」

 先発としては初めての地元ハマスタだっただけに、受けたショックはかなり大きかった。

 そして5月18日の中日戦(横浜スタジアム)、中川は改めて先発のマウンドを任されると6回2失点で試合を収め、さらに自身の1号本塁打が飛び出し、本拠地で初勝利を記録した。晴れてお立ち台に上がった中川だが、さぞかし壮観だったことだろう。

スタンドがキラキラしていた

「嬉しかったんですけど、じつは心情的には……」

 中川は苦笑してつづけた。

「前の阪神戦で打ち込まれて、気持ち的にきつくて、メンタル“−80”ぐらいだったのが、あの試合で勝てて“−20”ぐらいになった感じだったんです。だからプラスではなかったんですよ。本当あのときはつらかった」

 そう言いつつも中川は、口角を上げ微笑むのだ。

「メンタルがズダボロだったのもあったんで、ああやってお立ち台に上がって、ファンの方々の温かい声援が聞こえて、ありがたいなって本当感極まったというか……。何かスタンドがキラキラして見えましたよ」

〈後編につづく〉

#2に続く
「自分は今、戦っている」「これがプロ野球だな」“ハマのサブマリン”DeNA中川颯の刺激的すぎる1年…日本一のビールかけは「天国みたいでした」

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