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「自分は今、戦っている」「これがプロ野球だな」“ハマのサブマリン”DeNA中川颯の刺激的すぎる1年…日本一のビールかけは「天国みたいでした」

posted2024/12/02 11:03

 
「自分は今、戦っている」「これがプロ野球だな」“ハマのサブマリン”DeNA中川颯の刺激的すぎる1年…日本一のビールかけは「天国みたいでした」<Number Web> photograph by NumberWeb

初めて一軍で戦い、日本一まで経験した1年を「刺激が強かった」と振り返る中川

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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つい1年前、「野球を辞めようと思っていた」投手は、2024年秋、歓喜の渦のなかにいた。オリックスを戦力外になった中川颯が横浜に加入して初のシーズン。先発、リリーフ、初勝利、初セーブ、日本シリーズ……自らのアンダースローで運命をたぐりよせた「ハマのサブマリン」中川が激動の1年を振り返る、NumberWeb特別インタビュー。〈全2回の後編/前編はこちら

 6月1日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で先発した中川は、試合中に右肩痛を発症し、4回で緊急降板した。翌日、一軍登録を抹消され、リハビリと調整のためファームで約2ヵ月間過ごすことになる。

1回体をリセットした

「部位として初めて痛めた場所だったのですが、全体的にフォームのバランスも崩れていたし、肩以外にもいろんなところに痛みが出ていたので、ここは1回リセットして万全になってから復帰しようと切り替えたんです。焦ってどんどん引きずってしまったら元も子もないですからね。結果的に、あのときやったリハビリやトレーニングが、後半戦で生きたのかなって」

 トレーナーの適切な指示でリハビリをし、さらに冬に自主トレでやっていたことを組み直し、フィジカル中心のトレーニングメニューに取り組んだ。オープン戦から一軍に帯同され、強度の高い場所での継続的なプレーは中川自身初めてで、改めて体を見直す必要があった。

変則投法だけれどパワーピッチング

 そして8月上旬、調子を取り戻した中川は、チーム事情もありリリーバーとして一軍復帰を果たす。苦しいブルペン事情にあって火消しから、ワンポイント、回またぎ、そして勝ちパターンに至るまで、あらゆる場面でマウンドに上がった。その顔つきや背中は、投げるたびにたくましくなっていくように感じられた。

「僕の場合、先発とリリーフだと、自分のピッチングスタイルが変わってしまうんです。意図しているわけではなく、自然にそうなってしまうというか。先発だと打たせに行くピッチングになるけど、リリーフだと全球決め球の気持ちで行く。変則だけれどもパワーピッチングというか、本格派のような組み立てで投げているときの方が心に余裕があるというか、その中でタイミングを外したりすることができました。打たれたこともありましたけど、シーズン全日程が終了してもまだまだ投げられる状態だったので、来年はこれを1年通じてやりたいなって」

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