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「オオタニと差が開いてしまった…」「まさか落球」ヤンキースの英雄から“戦犯”に「死ぬまで忘れない」アーロン・ジャッジが負った深すぎる傷
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/11/06 11:05
大きな期待を寄せられていたアーロン・ジャッジ(32歳)。自身初のワールドシリーズは、苦い記憶として刻まれた
2024年のプレーオフでは通算打率.184(49打数9安打)、3本塁打、9打点、20三振。ワールドシリーズでも18打数4安打7三振に終わり、苦しむチームを救うことは叶わなかった。第5戦ではようやくシリーズ初本塁打となる先制2ランを打って地元ファンを歓喜させたものの、5-0とリードして迎えた5回表、中堅での手痛いエラーで崩壊のきっかけを作ったことはご存知の通り。こんな数字、背景を振り返ると、ジャッジが“チーム最大の誤算だった”とみなされたのは仕方ない。
「(ジャッジの)存在感は私たちのクラブハウスでは大きい。もたらしてくれるものの大きさを考えれば、彼が私たちを落胆させることなんてないよ」
35歳の一塁手、アンソニー・リゾはそうやってジャッジをかばったが、実際にはチームの第16代キャプテンでもあるジャッジにはもっと大きなものが期待されていた。
故障を負った大谷も今シリーズでは不発だったのだが、ドジャースのチームメイトにカバーしてもらえた。しかし、総合力で劣るヤンキースがドジャースに対抗するには、ジャッジの縦横無尽の働きは必須だった。そういった重積は酷なほどだが、先代キャプテンのデレク・ジーターはそんな重圧の中でもプレーオフ通算打率.308、20本塁打を残し、多くのポストシーズンでチームを押し上げてきたのだった。
じつは2022年プレーオフでも敗因に…
ジャッジがプレーオフで苦しむのはこれが初めてではない。前述通り、記録的なシーズンを過ごした2022年もプレーオフでは低迷し、9試合で打率.139(36打数5安打)、2本塁打15三振。特にアストロズとのリーグ優勝決定シリーズでは16打数1安打と冴えず、その時も敗因になったのは記憶に新しい。
2020年以降、31試合のプレーオフ戦で打率.160。この成績はもはや“スモールサンプル”とは言い切れず、ここでジャッジの歴史的評価に大きな打撃がもたらされたのは事実なのだろう。