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長谷川穂積が語る「中谷潤人のここがスゴい」井上尚弥と対戦なら勝算は…? 那須川天心にも金言「僕も世界王者になるまで判定ばかりだった」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2024/10/20 11:06

長谷川穂積が語る「中谷潤人のここがスゴい」井上尚弥と対戦なら勝算は…? 那須川天心にも金言「僕も世界王者になるまで判定ばかりだった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

完璧なKOでWBC世界バンタム級王座を防衛した中谷潤人。日本人同士の統一戦、そして井上尚弥との夢の対決について、長谷川穂積さんが語った

 長谷川さんはファンの目線の厳しさに触れる。

「井上尚弥選手が基準になって感覚がマヒしてる気がします。倒してなんぼの時代ですよね。僕が世界チャンピオンになる前なんて判定ばかり。もうちょっと倒せ、みたいな声もありましたけど『もらわずに勝ったからええやん』で済みました。今はファンの目線が厳しい。でも、天心選手は今、経験を積む時期です。今回、10ラウンドを経験できた。それが良かったと思うんです」

 その上で課題を挙げるとすればどんなことなのだろうか。

「パンチをもらわず、カウンターを当てるところが天心選手の良さです。カウンターのテクニックで魅せる。ただ、パンチの乗せ方はまだ分かってないのかなと思います。まだ完全にとらえ切れてない。もしかしたらミットとかスパーではできているのかもしれないけど、それが試合で出るようになるといいと思います」

「世界王者になって倒し方を覚えた」長谷川穂積の金言

 那須川は「パンチ力はない」と自ら語っているが、長谷川さんは「ないわけではないと思う」と前置きして続けた。

「乗せ方、当てるコツ、タイミング、当て方なんです。僕なんか最初は全然パンチがなくて、当て方やタイミングをつかんでKOが増えた。世界チャンピオンになってからですよ。しかもちゃんと分かったのは引退してから。だから天心選手も試合で覚えていくしかないと思います。ほんと、経験なんですよ」

 陣営はあと2試合戦って来秋の世界挑戦という青写真を描いている。

「あと2試合、12ラウンドは当然、経験するでしょう。天心選手と世界チャンピオンとの差は何よりも経験です。ピンチになったときの対処の仕方とか、連打しすぎて酸欠になったときどうやって回復させるかとか。そういう経験が世界戦では活きてきますから」

 那須川の世界挑戦がカウントダウンに入った今、あと2つ、どれだけ中身の濃い試合をできるかが世界奪取のカギとなる。長谷川さんは那須川がどのチャンピオンに挑戦するのかを楽しみに想像しながら、今後の2試合をじっくり見守ろうとしている。

<前編から続く>

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