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長谷川穂積が語る「中谷潤人のここがスゴい」井上尚弥と対戦なら勝算は…? 那須川天心にも金言「僕も世界王者になるまで判定ばかりだった」

posted2024/10/20 11:06

 
長谷川穂積が語る「中谷潤人のここがスゴい」井上尚弥と対戦なら勝算は…? 那須川天心にも金言「僕も世界王者になるまで判定ばかりだった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

完璧なKOでWBC世界バンタム級王座を防衛した中谷潤人。日本人同士の統一戦、そして井上尚弥との夢の対決について、長谷川穂積さんが語った

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Yamaguchi

 WBCバンタム級王者の中谷潤人(M.T)が10月14日、東京・有明アリーナ『Prime Video Boxing 10』のメインイベントで、ランキング1位のペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)を6回TKOで下して2度目の防衛に成功した。そして同じ日のセミファイナルでは元キックボクシングの神童、那須川天心(帝拳)がWBOアジアパシフィック同級王座を獲得して世界挑戦に前進した。中谷と那須川の現在地と未来、そして日本人王者が主要4団体のベルトを独占するバンタム級戦線の行方を、元世界3階級制覇王者の長谷川穂積さんに聞いた。(全2回の2回目/前編へ)

長谷川穂積が語る「中谷潤人のスゴさ」とは?

 中谷の勢いが止まらない。今回の勝利で戦績を29戦全勝(22KO)とし、3試合連続のKO勝ちをマーク。世界戦は8試合で7KOと数字の上でも圧倒的だ。長谷川さんも中谷の試合は「完璧です」と満点をつけた。

「とにかく強い。彼の強みはリーチを活かした戦いができて、かつ接近戦も強いこと。リーチの長い選手は接近戦が苦手なことが多いんですけど、中谷選手は短所になりそうなところを理解して長所に変えている。そこがすごいですね」

 中谷は長い距離と接近戦でフックの打ち方を変えている。長谷川さんが言うところの短所を長所に変える一つの例だ。

「接近戦では腕をうまく折りたたんで、手の甲が上を向くようにしてフックを打っています。距離が遠いときは普通に甲を横に向けています。めまぐるしく距離が変わる中で、打ち方を変えるって難しいんですよ。アッパーもノーモーションでコンパクト。接近戦でペッチ選手にバシバシと決めていました」

 最近の中谷は技術もさることながら、すごみが増しているように見える。長谷川さんは次のように解説する。

「今まで以上に自信がついてきた。そして自分の立ち位置を理解しているということだと思います。次代のボクシング界を自分が背負う、と。もしかしたら自分が井上尚弥選手と試合をして勝って世代交代をするんだという意識ですね。ここまで強くなってきた背景にはそういう自覚があるようにも感じます」

 中谷自身、スーパーバンタム級4団体統一王者、井上との対戦を明確な目標に掲げている。中谷は井上戦にたどりつけるのか、そして井上に勝つためには何が必要なのだろうか。

【次ページ】 「堤聖也が中谷潤人とやったら分からない」

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