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「バンタム級最強は誰なのか?」長谷川穂積に聞く“日本人王者のガチ評価”…堤聖也を絶賛「結局ね、ボクシングって覚悟が強いほうが勝つんです」

posted2024/10/20 11:05

 
「バンタム級最強は誰なのか?」長谷川穂積に聞く“日本人王者のガチ評価”…堤聖也を絶賛「結局ね、ボクシングって覚悟が強いほうが勝つんです」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

下馬評を覆してWBA世界バンタム級王者となった堤聖也の「覚悟」を絶賛した長谷川穂積さん

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Naoki Fukuda

 日本人選手が主要4団体王座を独占するバンタム級戦線が熱を帯びている。10月13日、14日に東京・有明アリーナで開催された『Prime Video Boxing 10』では、同級で2つの世界タイトルマッチが行われ、堤聖也(角海老宝石)が井上拓真(大橋)からWBAタイトルを奪取。WBC王者の中谷潤人(M.T)が盤石の内容で王座を防衛した。さらに注目の那須川天心(帝拳)が5戦目にしてWBOアジアパシフィック王座を戴冠。沸きに沸いた「2DAYS」興行を、元世界3階級制覇王者の長谷川穂積さんと振り返る。(全2回の1回目/後編へ)

長谷川穂積の胸に刺さった「堤聖也の覚悟」

 まずはなんといっても堤が拓真を破るというサプライズを起こしたWBAタイトルマッチに目を向けたい。かつてWBCバンタム級王座を10度防衛した長谷川さんのハートにも、この試合は強く突き刺さった。

「堤選手の気迫、手数、根性、それに覚悟。これが技術を上回ったという試合でした。もちろん堤選手にも技術はあるんですけど、やっぱり比較すれば拓真選手のほうが技術レベルは高い。それを気持ちと覚悟で上回った試合。努力がセンスを超えた試合でした」

 戦前の予想は「拓真有利」が大勢を占めていた。それは長谷川さんも同じだった。

「拓真選手はオールラウンダーです。だれに対しても自分のボクシングができる。どんな相手がきても自分のスタイルにはめこんでしまう。だから堤選手が勝つのは難しいかなと思っていたんです。そこを乗り越えたのは堤選手のこれまでの努力であり、背負ってきたものの大きさだったと思います」

 堤は試合前、自身のパワーの源を問われて「劣等感」と答えていた。拓真には高校時代にインターハイ準決勝で敗れた。堤は学生時代から好選手であり続けたものの、常に先頭を走っているのは、同じ95年生まれの拓真であり、プロで4階級制覇を達成した田中恒成(畑中)だった。彼らに追いつき、追い越したい。悔しさはいつだって堤の原動力であり、ハードワークの支えになっていた。

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