- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「立浪中日、低迷の原因は?」山崎武司がホンネ総括 育成は評価も「令和の米騒動、茶髪ルール」は…新庄監督やノムさん、星野仙一と何が違ったか
text by
間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2024/10/21 11:00
3年連続最下位という形で立浪ドラゴンズ体制は終了した。ともにプレーした山崎武司氏はどう総括するか
ビシエドは日本球界に来た2016年以降、大島は2010年のプロ入り以降、今季の出場試合数が最も少なかった。成績も昨季までとは比較にならないほど落ち込んだ。山崎氏は「2人の力が急激に落ちたわけではない」と話す。
「立浪監督も現役時代、晩年は嫌な思いをして、首脳陣からの言葉の大切さを知っていたはずです。ベテランは競争して若手に敗れたり、役割を明確に説明されたりすると、気持ちを切り替えてチームに貢献する方法を考えます。色んな所から話を聞いていると、立浪監督やコーチ陣は選手とのコミュニケーションが不足していて、関係性を上手く築けていなかったのかなと思っています」
違和感を覚えたのは、石川の起用法だった
さらに、立浪前監督が最優先に掲げていた若手育成にもブレがあったと山崎氏は指摘する。違和感があったのは、石川昂弥の起用法だ。今季は82試合で打率.272、4本塁打、25打点。ポテンシャルを考えれば、物足りなさだけが残る。山崎氏は言う。
「石川の能力は誰もが認めています。監督が10人いたら、10人全員が中軸で一人前に育てないといけないと感じる選手です。本当に育てなきゃいけない選手が育ってないのは、今のドラゴンズの弱み。他球団を見ても分かるように、将来的にチームの中心になる存在に対しては目の前の数字に捉われず、成長の場をつくる必要があります」
中心選手の育成は当事者だけではなく、チーム全体に影響する。石川の起用法が定まらず、一人前に育てる覚悟が見えなければ、他の選手にも不信感や不安は広がる。
新庄監督を見て感じる“選手との距離感”
選手との距離感で、山崎氏が引き合いに出したのは日本ハム・新庄剛志監督だった。
立浪前監督と同じ2022年に指揮官へ就任。コーチ経験なく監督に就いたことやカリスマ性など共通点は多い。新庄監督も就任1、2年目は最下位に沈んだ。
しかし、今季は75勝60敗8分けと貯金を15個つくり、リーグ2位でクライマックスシリーズに進んだ。効果的な補強を組み合わせ、若手育成とチームの勝利を両立させた。山崎氏は、こう分析する。
「新庄監督は就任1年目、選手を激しく入れ替えていました。ところが、2年目から少しずつ、レギュラーになる力のある選手や伸びしろのある選手を見極め、結果が出ない時も我慢しながら信じて使い続けました。その成果が3年目に表れました。若手が数字を残し、突出した選手がいなくてもチームとして好成績を収めました」
新庄監督は就任1年目、「BIGBOSS」を名乗り、メディアにも多数出演した。チームの注目度を高めるだけではなく、間接的に選手へメッセージを届けたり、選手に親しみやすさを感じさせてたりする計算があったのかもしれない。
山崎氏はこう語る。