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國學院大「101回目のプロポーズ」って何のこと?…出雲で見えた箱根駅伝“総合優勝”の現実味「“3番以内”に逃げない」「メンバー争いの方が怖い」
posted2024/10/16 11:01
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Nanae Suzuki
昨シーズンから、國學院大の前田康弘監督が繰り返し口にしてきた言葉がある。
「101回目のプロポーズじゃないけど、勝負するのは来年なので。本当に優勝のチャンスがあるのは次だと思ってます」
かつて一世を風靡した「月9」ドラマのタイトルに喩えながら、監督は1年後の躍進を見据えていた。101回とは次の箱根駅伝の第101回大会を指す。つまり、今シーズンにより充実した戦力が整うことを端から見越していたのだ。
だからだろう、大学駅伝の緒戦である出雲駅伝を5年振りに制しても、監督に浮かれた様子は見られなかった。
「物語としては出来過ぎだけど、今年が勝負の年なのはわかっていたので。とにかくチームとして勝ちに行こうと。今回『オレはもう逃げないから』ということも言ってます。“3番以内”という言葉に逃げないで、今年はどの駅伝も獲るつもりでやるからなと。どんな相手が来ても負けねえぞ、ブレずに行くぞって。選手がよくそれを実践してくれましたよね」
格上相手に大健闘の2年生エース
その言葉通り、出雲駅伝では國學院大の選手の粘り強い走りが印象に残った。
各大学の監督が口を揃えて「出遅れ厳禁」と注視した序盤で、実力者の青木瑠郁(3年)と山本歩夢(4年)が区間3位、区間5位と好走。エース区間の3区では、出雲駅伝初出場となる2年生の辻原輝が青学大の黒田朝日(3年)、駒澤大の山川拓馬(3年)といった格上相手に食らいつき、トップ駒澤と20秒差の3位にまでチーム順位を押し上げた。
実績でははるかに上回る相手だが、辻原はまったく臆することがなかったという。
「僕、中学高校とあまり実績がなくて、ずっと格上相手に挑んでは負けるっていうレースを繰り返してきたんです。地元の神奈川県でもずっと2番で……。だから今回も挑むことに怖さはなかったです。むしろワクワク感の方が強くて、たとえ負けても絶対に次に生かすレースをするぞって。今日は少しでも粘れという監督からの指示だったので、次こそはお前の区間で勝つぞといってもらえるように頑張ります!」