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國學院大「101回目のプロポーズ」って何のこと?…出雲で見えた箱根駅伝“総合優勝”の現実味「“3番以内”に逃げない」「メンバー争いの方が怖い」 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/10/16 11:01

國學院大「101回目のプロポーズ」って何のこと?…出雲で見えた箱根駅伝“総合優勝”の現実味「“3番以内”に逃げない」「メンバー争いの方が怖い」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

5年ぶりに出雲路を制した國學院大のアンカー・平林清澄(4年)。各学年に有力選手が揃い、集大成となる今季はどんな結果を残すか

 辻原の怯まない姿勢は、後続のランナーにも良い影響を与えた。4区を担った野中恒亨(2年)は三大駅伝のデビュー戦だったが、区間賞を奪う活躍で首位の駒澤大に9秒差まで迫った。

 痺れるような展開の中、ときに笑みを浮かべながら伸び伸びと走ることができたのは、本人いわくこんな理由からだった。

「辻原が本当に良い形で襷をつないでくれて、監督が事前に言ったとおりの展開になりましたし、そもそも僕が焦ったところで負けるチームではないので。先輩方が強すぎて、むしろ練習の方が緊張感がある。メンバー争いの方が怖かった印象があるので、もうこの大きな舞台でも走ることを楽しむだけでした」

 5区の上原琉翔(3年)も区間賞の走りで続き、チームはついにトップに立つ。真骨頂はエース平林清澄(4年)の大会史に残るような激走だった。

 平林は今年2月の大阪マラソンで初マラソンの日本最高記録(2時間6分18秒)を作った実力者だが、4秒差で追ってくる駒澤大の篠原倖太朗(4年)もまた、ハーフの日本学生記録(1時間00分11秒)を持っている。さらに24秒差で青学大の駅伝男、太田蒼生に追われるという厳しい展開の中、篠原との併走状態が続く中盤からロングスパートを決め、持ち前のスピード持久力を生かして最後まで主導権を渡さなかった。

エース平林と「同等レベルのことができる選手がたくさん」

 最後は2位の駒澤大に40秒差をつける会心の走り。まさに主将の意地が試合を決めた印象だが、平林の見方は少し異なるようだ。

「ラストスパート勝負には持ち込みたくなかったですし、ロングスパートは考えていて、中盤のアップダウンで仕掛けて勝負できたことは良かったです」と語る一方で、チーム力についてこう話す。

「みんながつないで先頭で(襷を)持ってきてくれて、上原ありがとうって感じですね。実際、今回は1区から5区のみんなに頼んだぞと声をかけて、上原は安心してくださいと言っていた。練習でも僕と同等レベルのことができている選手がたくさんいるので、本当に良いチームができてきたなと思います」

 前田監督も「誰を外すのかで悩んだくらいチーム状態が良い」と話していたが、層の厚さこそが今年の國學院大の強さなのだ。

【次ページ】 一番の目標「箱根駅伝の総合優勝」も現実味

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