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“大谷翔平が脇役”に…「ダルビッシュ有vs大谷ベッツは12打数0安打」「山本由伸は“同じ失敗を2度しない”」日本のエース初対決成績が美しい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNicole Vasquez/Getty Images

posted2024/10/13 11:04

“大谷翔平が脇役”に…「ダルビッシュ有vs大谷ベッツは12打数0安打」「山本由伸は“同じ失敗を2度しない”」日本のエース初対決成績が美しい<Number Web> photograph by Nicole Vasquez/Getty Images

ダルビッシュ有と山本由伸。2人の「日本のエース」が投げ合った計140球は極上の投手戦だった

4・5回:大谷らに労われる好投、ダルは5回60球

《4回》
【山本】
プロファー:一ゴロ(スプリッター)5球
マチャド:右飛(フォーシーム)2球
メリル:右飛(カーブ)3球

 山本は当初の方針ではこの回までだったが……マチャドに再び大飛球を放たれたものの、3~5番の打ち損ないを誘い、わずか10球で終えた。

【ダルビッシュ】
フリーマン:左飛(シンカー)4球
テオスカー・ヘルナンデス:空振り三振(スライダー)6球
マンシー:遊直(カッター)1球

 この回11球で三者凡退に終わった中で、シンカー、スライダー、カッターでそれぞれの打者を抑える辺り、ピッチングデザインの名手である。なお4イニングを投げた段階で山本、ダルビッシュともに47球だった。

《5回》
【山本】
ボガーツ:見逃し三振(フォーシーム)6球
ペラルタ:二飛(カーブ)5球
クロネンワース:一ゴロ(フォーシーム)5球

 ブルペンではエバン・フィリップスが用意し始めていたが山本が続投した。ポストシーズンでは勝ち投手にはそれほど意味はないが、それでもこの回を抑えれば白星がつく。ボガーツはシュート回転して中に入ったが、157km/hを計時。ペラルタ、クロネンワースも打ち取り、この回16球。5回63球、うち39球がストライクという内容だった。山本はベンチに戻ってロバーツ監督と抱擁し、大谷ともハイタッチ。さらには頭をなでられた。このイニングでマウンドを降りたが、しっかりと仕事を果たした。

【ダルビッシュ】
スミス:中飛(スライダー)3球
キケ・ヘルナンデス:空振り三振(スイーパー)7球
ラックス:一ゴロ(カッター)3球

 スミスが初球にバントするなど揺さぶりをかけたが、ダルビッシュに崩れる気配はなく13球で仕留めて、ここまで60球。この日、両先発が1人の打席に最も投じたのはキケの7球が最多だった。実に息詰まるような前半戦で、その緊張感はまさしく2人の日本人投手が作り上げたものだ。

6、7回:痛恨の2被弾目…それでもダルvs大谷・ベッツは

《6回》
【ダルビッシュ】
エドマン:左飛(シンカー)3球
大谷:空振り三振(カーブ)4球
ベッツ:遊ゴロ(カッター)1球

 続投したダルビッシュは大谷との3回目の対戦でも、初球スライダー、2球目カーブを連続ファウル、3球目スプリットはボールになったものの、最後は外側高めに抜けるカーブで、この日高めの球に手が出ていた大谷を翻弄した。この回わずか8球、ここまででも68球である。

 そしてあまり報じられていないが――ダルビッシュの非凡さが分かる成績がある。

 大谷、ベッツとの2戦合わせての対戦成績は12打数0安打4三振とすべてアウトに斬ってとった。外野に飛んだのは、第2戦でプロファーがホームランキャッチしたベッツの第1打席のみ。これはダルビッシュの出来が素晴らしかった証明として特筆すべきだろう。

【次ページ】 由伸の「5回無失点」はドジャースで36年ぶり

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