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日本代表FW上田綺世は「勝っても無念そうだった」CL初ゴールを逃す“PK失敗”だけでなく…点取り屋のプライドを現地撮影カメラマンは見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/10/08 17:01
CL初ゴールを逃した上田綺世。日本代表のエースFWとなった中で、クラブでの現状とは
予報通り雨が降り始めたピッチでは、拮抗した展開でゲームが進んでいた。センターフォワードとしてピッチの中央に位置する上田の元まで中々ボールが届かない。どちらかといえば、パスを受けるよりも、相手CBへのプレッシングの時間の方が長く感じられるほどだった。
その中での好機に相手マークを外してボールを呼び込んだが、パスが出てこないと思わず声を荒げるシーンも見られた。
PK奪取で「俺が蹴るよ」と名乗り出たが
前半19分、ホームチームがCKから相手ミスを見逃さず先制点を奪う。ただフェイエノールトも直後の23分、サイドからのFKを得るとオウンゴールを誘発。同点にすぐさま追いついた。33分には、ジローナの最終ラインからの組み立てに対して、上田も連動した前プレスでボールをカットすると、カウンター攻撃でミランボが抜け出して逆転弾を流し込んだ。
さらに流れに乗るフェイエノールトは、36分にPKの機会を得た。PKスポットへ向かったのは左WGのイゴール・パイシャオンだったが、上田が「俺が蹴るよ」と名乗り出た。
拮抗したアウェイでの2-1の局面、追加点がチームに安心をもたらすのは分かりきっていた。エースの自覚、PKへの自信、そしてなにより自身の価値を高めるため、全てを背負ってキッカーに名乗り出ている。
ボールに念を送り、しっかりとセットすると右足を振り抜いた。高さが中途半端になってしまったか、相手GKパウロ・ガッサニーガに止められてしまった。
ただPK失敗は、常にサッカーについて回る。降りしきる雨によるスリップの可能性などが精神的な影響もあっただろうか。
それよりも上田にとって悔やまれるのは、後半開始直後48分に迎えた決定機だったか。味方の好プレーからボックス内でフリーでボールを引き出した上田だったが、トラップがやや乱れると、相手DFのカバーリングにあい、シュートまで持ち込むことができなかった。
試合を通して流れの中ではこれしか決定機がなかったが、その数えるほどしかない決定機を決め続けることでしか序列を覆すことはできない。
これ以降も前線で身体を張り起点になろうと務め、また相手GKにまでプレッシャーをかけ続けるなど、チームプレーヤーとしての務めは目に見えるものがあっただけに、ゴールという分かり易い結果が欲しかった。
勝利後も無念の表情を浮かべていた
そして上田は71分に、ピッチを後にしている。