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巨人「目玉補強なし、本塁打84本減で優勝のナゼ」昨季と成績比較で浮かぶ3大要因「菅野智之の復活、リリーフ陣整備」そして阿部慎之助監督の… 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/10/02 11:02

巨人「目玉補強なし、本塁打84本減で優勝のナゼ」昨季と成績比較で浮かぶ3大要因「菅野智之の復活、リリーフ陣整備」そして阿部慎之助監督の…<Number Web> photograph by JIJI PRESS

4年ぶりのリーグ優勝を飾った読売ジャイアンツ。ビールかけでは復活した菅野智之らが大喜び

 主要な投手でPRがプラスの投手は左腕の中川だけ。クローザーの大勢も-3.78とリーグ平均以下の成績だった。巨人は毎年、救援投手の起用法に問題があるといわれてきた。原辰徳監督最終年も、その問題が露呈した印象だった。

 では2024年の成績はどうなったか。

〈2024年〉
・先発
 戸郷翔征26登12勝8敗0S/0H 180回 責39率1.95 PR19
 菅野智之24登15勝3敗0S/0H 156.2回 責29率1.67 PR21.41
 山﨑伊織23登9勝6敗0S/0H 141回 責44率2.81 PR1.41
 グリフィン20登6勝4敗0S/0H 116.2回 責39率3.01 PR-1.43
 井上温大25登8勝5敗0S/2H 101回 責31率2.76 PR1.57
 赤星優志21登1勝7敗0S/1H 75回 責26率3.12 PR-1.83

・救援
 バルドナード58登2勝3敗9S/26H 51.2回 責14率2.44 PR2.64
 ケラー51登2勝2敗1S/19H 46回 責8率1.57 PR6.80
 高橋礼11登2勝2敗0S/0H 46.2回 責19率3.66 PR-3.94
 大勢42登1勝2敗28S/5H 40回 責4率0.90 PR8.89
 船迫大雅51登4勝0敗0S/22H 38回 責10率2.37 PR2.24
 泉圭輔35登2勝0敗1S/5H 37.1回 責8率1.93 PR4.02
 高梨雄平50登4勝3敗0S/24H 34.2回 責8率2.08 PR3.16
 平内龍太31登1勝2敗0S/2H 33.1回 責8率2.16 PR2.74
 西舘勇陽28登1勝3敗1S/20H 30.2回 責13率3.82 PR-3.13

 34歳となり、ピークを過ぎたと思われていた菅野が目覚ましい復活。2年ぶりの2ケタ勝利を挙げ、自身4回目となる最多勝にも王手をかけている。戸郷との「二枚看板」ができたことで、山﨑や井上らが成長した先発陣がさらに安定感が増した。

 菅野の復活以上に大きかったのは、救援投手陣が整備されたことだった。

 クローザーの大勢が復活したうえに、阪神から移籍したケラー、ソフトバンクから来た泉、2年目の船迫と新しい戦力によって「勝利の方程式」ができた。中継ぎ投手を増やすなど、一人の投手に大きな負担がかからないようにした阿部慎之助新監督の采配は優秀だった。

打撃:中田らがいた昨季から本塁打が84本減

 つづいて、打撃成績を見ていこう。

【打撃成績】
 2023年143試1218安164本511点48盗 率.252(1)OPS.710(1)
 2024年142試1162安80本443点59盗 率.246(2)OPS.658(3)

 極端な「投高打低」が進行していることもあり、本塁打が昨季から半分以下の84本減となるなど、今季の打線は明らかにスケールダウンした。

 ここからは昨季と今季の主力の個人成績を見ていく。

〈2023年〉*は左打者、RCは打撃の総合指標
・捕手
 大城卓三*424打119安16本55点0盗 率.281 RC63.27
 岸田行倫68打17安2本3点0盗 率.250 RC5.69
・一塁手
 中田翔263打67安15本37点0盗 率.255 RC35.09
・二塁手
 吉川尚輝*430打110安7本36点4盗 率.256 RC46.69
・三塁手
 岡本和真503打140安41本93点0盗 率.278 RC107.08
・遊撃手
 坂本勇人403打116安22本60点2盗 率.288 RC75.74
 門脇誠*316打83安3本21点11盗 率.263 RC32.4
・外野手
 秋広優人*406打111安10本41点0盗 率.273 RC50.15
 丸佳浩*385打94安18本47点4盗 率.244 RC51.71
 ブリンソン282打70安11本35点1盗 率.248 RC30.97
 梶谷隆幸*265打73安2本19点2盗 率.275 RC29.22
 長野久義158打41安6本19点1盗 率.259 RC22.55

 絶対的な中軸の岡本和真は三塁と一塁を、若手の秋広も外野と一塁を掛け持ちした。好調な時は中田が一塁でスタメン出場。遊撃手も坂本と門脇が併用されるなど、ポジションが常に動き続けた。ただし打線の陣容もクルクルと変わり、攻撃力のわりに効率が悪い打線だった。

ヘルナンデス、モンテスの「当たり外国人」が

 その打線は、今季どのように変化したのか。

【次ページ】 週間記録セ:

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