- #1
- #2
バレーボールPRESSBACK NUMBER
「こんなあっさり勝っちゃうのか…」男子バレー関田誠大は“運命の第3セット”で何を考えていたのか「東京五輪よりは絶対、上にいけると思っていた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/09/30 11:07
パリ五輪の激闘を振り返ったセッター関田誠大(30歳)。メダルには届かなかったが、司令塔にとってどんな大会となったのだろうか
「初戦の前日の練習まで、アタッカーみんな、めちゃくちゃ調子良くて、すごくいい感じだったんです。でも(試合が始まると)決まんないな、なかなかうまくいかないなと感じて。『どうしようかな』と、ちょっと戸惑いというか、リズムに乗り切れないところがありました。オリンピック自体、他の大会と違う雰囲気だし、気持ちの入り方も全然違うので、やっぱり難しい大会だなと感じた予選ラウンドでした。
チームとしてなんか、“勝たなきゃいけない”というのがあって……。『勝ちたい』という気持ちはもちろんですけど、『勝たなきゃいけない』『結果を残さなきゃ』というのもあったんじゃないですかね。“金メダル”と言って、プレッシャーを自分たちでもかけていたし、いけるだろうという気持ちもあったので、『この予選ラウンドでは絶対勝たないと』という思いで、力は入っていたと思います」
石川祐希の劇的なカムバック
第2戦以降はエース石川祐希(ペルージャ)のスパイク決定率が上がらない中、アルゼンチン戦は小野寺太志(サントリーサンバーズ大阪)、山内晶大(大阪ブルテオン)のクイックを多用して勝利につなげた。アメリカ戦は途中出場の大塚達宣(ミラノ)を活かし、準々決勝進出の条件だった1セットを奪い、なんとか乗り切った。
チームの軸である関田と石川はイタリア戦に臨む前、2人で話をした。そこで互いの意識を確認し合い、練習ではコンビも再確認した。
そうして臨んだイタリア戦で、石川は爆発した。第1セットの7-7から石川が強力なサーブで崩し、関田のトスから石川が立て続けにパイプ攻撃を決め連続ブレイクで9-7とすると、関田は跳びはねながら笑顔で駆け寄り、石川とガッチリ抱き合った。
この試合ではコート内で関田と石川が互いに目を見て話すシーンが多く見られた。会心のスパイクを決めた後、石川が指でOKサインを作りながら満面の笑みを関田に向けた場面も。
イタリアの攻撃に対して守備が機能し、そこから生み出したチャンスを、石川を中心に得点につなげていく。準々決勝にきて初めて、日本らしい戦いができた。