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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「便器にトト…用足せねえよ!」磐田でボヤき、ドゥンガと釣り…スキラッチの“日本批評”はド直球だった「ヤナギサワの評価? 点取ってからだ」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2024/09/29 17:03
2021年のスキラッチ。忌憚のない意見でサッカー界に物申した
「彼はこれまで何ゴール取った? まだゼロ? なら、話は点を取ってからだ」
にべもない答えだったが建前ではなかった。W杯得点王は、ゴールに関しては忖度も甘えもない。それが妙に嬉しかった。
「トトの蹴り方は摩訶不思議でな、ボールが奇妙な回転をしていた」
メッシーナ時代の師匠にあたる御大ゼーマンは、先に逝ってしまった弟子の死に憐れみを込め、地元紙に語っている。
「どれほど体調が悪くとも怪我をしていても、とにかくプレーをしたがった。いつだったか、大事な試合の前に足首を痛めてメロンほども腫れ上がっているのに『監督、出してくれ』と懇願してきよった。この馬鹿者と思わず叱りつけたが、わしにとってやつは愛すべきサッカー馬鹿だったよ。やつほどグラウンドとボールを愛していた男はおらん」
天国の代表チームから招集がかかったのだ
20日、トト・スキラッチの葬儀は、初秋の好天に恵まれたパレルモ大聖堂で執り行われた。
葬儀には、FIGC(イタリア・サッカー連盟)ガブリエレ・グラヴィーナ会長を始め、カルチョ界の要人やジュゼッペ・ベルゴミら代表時代の友人ら多数に加え、地元パレルモの会長やウルトラスも駆けつけた。多くのパレルモ市民も、TVやWebで生中継を見守った国民も出棺を見守った。
「トトには天国の代表チームから招集がかかったのだ」
「きっと天国でもゴールを決めるさ」
嗚咽を抑えながら、弔う人びとは口々に囁いた。〈第1回からつづく〉