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「カマダ、IQ高いね」「パスの判断がなぁ」地元ファン“極端評価”の鎌田大地だが…記者がプレミア強豪相手に見た「いてほしい所にいてくれる」 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byRobin Jones/Getty Images

posted2024/09/04 11:00

「カマダ、IQ高いね」「パスの判断がなぁ」地元ファン“極端評価”の鎌田大地だが…記者がプレミア強豪相手に見た「いてほしい所にいてくれる」<Number Web> photograph by Robin Jones/Getty Images

クリスタルパレスに加入した鎌田大地。プレミアリーグ挑戦を地元ファンはどう見て、強豪相手にどんなプレーを見せた?

 同点に持ち込んだ2分後には、中央を上がってエゼにシュートチャンスを演出。その3分後に得たチーム最初のCKも、ムニョスの外から回り込んだ鎌田が奪ったものだ。後半21分にはタッチライン沿いでパスを受けると、細かなタッチを繰り返しながらタイミングを計り、ムニョスをボックス内へと走らせるパスを送る。これもまた秀逸だった。

 そして後半32分のシュートシーン。ペナルティアークからダイレクトで放った右足ミドルは、相手GKの正面をついた。だが、チームとしても鎌田個人としても、最も「らしい」攻撃展開だったと言える。

 そもそも中央から左足で右アウトサイドのムニョスへとプレーを振ったのも鎌田だった。そのまま足を止めず、折り返しを予期して前進を続けた「18番」の右足は、タイミングも完璧にボールを捉えていた。

 グラスナーは、古巣フランクフルト時代、鎌田にピッチ上での自由を与えながら、ゴールへの貪欲さを引き出した監督。その現パレス指揮官が、試合後の会見で「カマダに訪れたチャンス」として、わざわざ言及しているのも頷けた。

「いてほしい所にいてくれる」という能力

 冒頭で触れたファンの鎌田評には、「時期尚早」の他にもう1つ、共通の前置きがあった。

 パレスが逆転に迫った唯一のシーンを目の当たりにした彼らは、改めて「いてほしい所にいてくれる」との印象を強めたのではないだろうか?

 勝って然るべきチームはチェルシーだった。パレスのベストプレーヤーを選べば、計3度のビッグセーブで危機を救ったディーン・ヘンダーソンになる。だが、後半の蘇生ぶりは勝ち点1獲得に価する。そのイレブンには、間違いなく鎌田がいた。

 チームの結果としても、開幕からリーグ戦2連敗中だったパレスは、代表ウィーク突入を前に、今季初のポイントを手にすることができた。過去7連敗中で苦手意識を持っていた、敵地でのチェルシー戦で奪った1ポイントでもある。

 予想外の夏日となった日曜の午後、気持ちも明るくスタジアムを後にしたアウェイサポーターたちの中で――現在は日本代表に合流している鎌田も、新戦力としてのポイントを上げていけるはずだ。

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