プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「カマダ、IQ高いね」「パスの判断がなぁ」地元ファン“極端評価”の鎌田大地だが…記者がプレミア強豪相手に見た「いてほしい所にいてくれる」
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byRobin Jones/Getty Images
posted2024/09/04 11:00
クリスタルパレスに加入した鎌田大地。プレミアリーグ挑戦を地元ファンはどう見て、強豪相手にどんなプレーを見せた?
その中でもキックオフ50秒後には、鎌田が「先制攻撃」とも表現できるプレッシングで、相手左SBマルク・ククレジャにバックパスを強いた場面もあった。昨季終盤からの現体制下においては、敵地でも攻めの姿勢で臨むチーム像を窺わせる瞬間だった。
同5分には、ククレジャへのファウルを取られた。しかし、スタンドのパレス陣営は盛り上がった。鎌田に倒された相手は彼らが宿敵と意識する、ブライトン(三笘薫が所属)ゆかりの選手なのだ。
鎌田より周囲の味方のスピード不足が問題だった
その後のクリスタルパレスは、しばし守勢が続き、鎌田のボールタッチも限られた。それでもカウンターに転じた際には、右ウイングバックを務めるダニエル・ムニョスとの呼吸は好材料に感じられる。前半16分に2人が右サイドで見せた連係は、センターハーフのアダム・ウォートンによるチーム最初のシュートを呼んでいる。同38分にも、ムニョスのパスを受けた鎌田が、カイセドのタックルを受けながらも味方に繋いでいる。
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その1分後、パレスのベンチ前にはカウンターのチャンス消滅に苛立ちを露わにする指揮官グラスナーの姿があった。中には、その理由を鎌田と解釈したファンがいたかもしれない。センターサークル内からドリブルで1対2の状況に向かう格好となり、自軍コート内へのバックパスに終わったためだ。
しかしながら、鎌田がルーズボールを拾った時点で――周囲の味方も即座にスピードアップできていれば、自ら持って上がった新MFにもパスのオプションがあっただろう。バックパスを受けたエゼは、立ち上がりから40分近く、敵にボール供給を断たれた精神状態も影響したのか、その次のアクションまで緩慢だった。記者席から眺めているとエゼに象徴されるように、チームとしてのスピード不足がグラスナー監督を怒らせたと映った。
指揮官が言及した「カマダに訪れたチャンス」
だが後半早々パレスは、攻守両面の弱点として狙われた感のあるウィル・ヒューズに代えて、馬力のあるシェイク・ドゥクレが中盤に投入されて奮起した。中盤のバランスが改善され、好調だった昨季終盤のようにウォートンがメトロノーム的に機能できるようになった。
同時に、手前の1人である鎌田の絡みも頻度と効力を増した。