- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
大谷翔平につぐ“ドラフト2位”だった強打者は今「野球道具も全て友達にあげて…ニートでした」引退後に変化した“同期・大谷”への思い
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKYODO
posted2024/09/13 11:01
2012年のドラフトで日本ハムから大谷翔平に次ぐ2位指名を受け喜ぶ森本龍弥さん
「営業先で『大谷翔平の同期です』って」
リストの中にあった内装資材メーカーに履歴書を送り、筆記試験を受けた。2020年10月、採用通知を受け入社。その翌日に入籍した。第二の人生を踏み出す勇気をくれた恋人は、人生の頼れるパートナーになった。営業の仕事は今年で5年目になる。慣れないパソコン作業など最初は戸惑うことも多かったというが、今は働く喜びを感じている。
「自分の体一つで野球やっていた方が楽ですよ。でも契約が取れた時なんかは嬉しいですね。関西は野球好きが多いから、元野球選手という肩書には助けられています。営業先で大谷翔平の同期です、って言うと、おお~!って。それで契約が取れます。助けられてます(笑)」
引退した直後には目にしたくなかったプロ野球が、最近は心から楽しめるようになってきた。全てあげてしまった野球道具を友人から少しずつ“回収”し、草野球も始めた。今の楽しみは2歳の息子と遊ぶことだという。
「子どもには絶対野球をやらせたい。翔平には僕の息子が野球をやるくらいまでメジャーで頑張ってほしいです。あと10年、40歳まで!」
「大谷翔平の同期」肩書が今は嬉しくなった
『ドラフト1位・大谷翔平、ドラフト2位・森本龍弥』。超人的な存在と自分の名前が並ぶことに、重圧を感じていた時期もある。何をしても「大谷の同期」と肩書が付くことが少し悔しかった時期も。
「ネットに『歴代最大のドラフト1位と2位の格差』って書かれていたこともありました。翔平とのレベルの差は、自分が一番実感しているじゃないですか。だから、わかっとるわ! という感じなんですけど、最初はめちゃ気になりました。自分についての記事でも絶対に『大谷の同期の森本』ってつきますしね。でも、今になってみれば凄くありがたいことだと思う。嬉しいです、ほんまに」
「入団同期」として5年間を共に過ごした大谷翔平は近くて遠い存在だった。しかし、遠い世界に飛躍したスーパースターの存在を今、誰より近くに感じられることは「入団同期」だからこそ抱ける喜びだ。森本さんは言う。
「翔平って呼べるのも実は凄いことですよね。彼が頑張っていたら僕も頑張れる。朝起きるたび、テレビの向こうで翔平がホームランを打っているのはほんまに嬉しいし、元気が出るんですよ」《インタビュー第1回も公開中です》