欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「タクは特別に良かったね!」マドリーが慌てた浅野拓磨の俊足…“久保建英らの古巣”監督とファンが絶賛スペイン初戦をカメラマンは見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/08/23 11:02
マジョルカでのデビュー戦でインパクトを残した浅野拓磨。持ち前の俊足でマドリーを慌てさせた
左ウイングのビニシウスへボールが入った際には、浅野とマフェオが2人がかりでいってもボールを奪いきれない。また自陣ゴール前から相手ゴール前までエムバペが独走、最後は倒れ込んでPKを奪いかけたが判定はノーファールとなった場面もあった。
そして13分、エムバペとベリンガムだけで4本のパスを繰り返し、ボックス内へ易々と侵入する。一度はカットされたボールをロドリゴとビニシウスで奪取し、相手を翻弄するようなヒールパスとドリブルから、ロドリゴがゴール右隅へシュートを蹴り込み先制に成功した。
浅野の俊足プレスと、クルトワを慌てさせたシュート
主導権を握るマドリーに対し、マジョルカは守備の時間が多くなった。その中で、4-2-3-1の右サイドにポジションを取った浅野は、相手SBに対しプレスをかけ、脅威となったビニシウスへのパスコースを限定し始める。
またビニシウスへボールが入った際には、右SBのマフェオとビニシウスを挟み込める位置まで戻る。さらにベリンガムがフリーでボールを受けた際には猛烈なプレスをかけボールを奪い切るなど、守備に尽力。浅野の快足プレスが相手の攻撃に規制をかけたのは明白だった。
攻撃面では自身の特性を活かすことができない展開が続いたが、前半終了間際にチャンスが訪れた。
左SBモヒカの持ち上がり、右サイドよりダイアゴナルに走り抜けてパスを受ける。追い縋るメンディ、相手CBのミリトンに挟まれながらもシュートまで持ち込んでいる。
角度のないところからのシュートはGKの正面へ飛んだが、名手クルトワは弾くことしかできず、その弾かれたボールにムリキが詰めたシュートはゴールにこそ至らなかったが、浅野が呼び込んだ決定機だった。
その際には、倒れ込む浅野に対して、モヒカが近寄ってプレーを讃えている。また浅野の表情にも充実を感じさせる笑みが浮かんだように見えた。
交代時にはスタンディングオベーションが起きた
後半はメンバーに変更なく始まると、53分にマジョルカがCKよりムリキの頭で同点ゴールを奪う。勝ち越しを狙うマドリーに対し、守備に尽力しながらも徐々に攻撃時のボール関与を増やす浅野は、相手陣内深くでパスを受けると左足でクロスを送る。わずかに味方に合わなかったが、浅野へパスを送ったサム・コスタが浅野の元へ寄ってきて賛辞を送っている。
さらに浅野は相手CBルディガーのミドルパスをカット。詰め寄るルディガーをドリブルで交わすとスタジアムを歓声が包んだ。