ミゲル氏はスペイン最大の全国紙『AS』のカメラマンで、先のEURO2024でも、パリ五輪でもスペイン代表担当として全スペイン戦を撮影しているスペシャリストだ。彼は日本に好印象を抱いたという。

「あの試合は日本に運がなかっただけだと思う。本来であれば3－2で日本が勝っている試合だ。日本はいいサッカーをしたと思うし、本当によくオーガナイズされていた。よいチームを作って来ているなと思ったよ。それが現れた試合をしていた。それに、良い応援団もついている。だが、運だけが欠けていた。それだけのこと。逆にスペインは点を獲った以外なにも見るべきものがない試合だったんだ。僕としては、あそこで日本が大会を去ったのは残念なことだった」

「3－0」という結果は正しくないし、できすぎ。でも…

　そう。海外の記者は基本的に褒めてくれるし、それはそれで本音ではあるのだろう。だが、感じたことは他にもあるのでは？ と聞くとピッチ上でレンズ越しに感じた、彼の印象はこうだった。

©Takuya Nakachi/JMPA

「たしかに3－0という結果は正しくないと思う。でも、選手個人個人の質は少しずつスペインが上回っていたと思う」

　個の能力の差、を結論とした。たしかに決勝を戦ったフランスなどよりも、よくオーガナイズされた日本だったように思う。となると個人の能力に帰結するのは致し方のないことなのだろうか。
 
　試合前にスタンドに上がり、記者席に着くと同時にペン記者で日本戦を取材した人を探した。

　これもなかなか探し当てられず、幾人かに声をかけたところようやく1人見つかったのは、ウェブメディア『エル・デスマルケ』のホルヘ・ゲレイロ記者である。このメディアはサッカー情報中心だが総合的にスポーツを扱うウェブサイト。彼は日本に好印象を抱きつつ、結果通りスペインが上回っていたとの見解である。

「あの試合は、スペインが勝っていたとは思う。でも3－0はちょっとできすぎで、僕から見れば1－0くらいだったと思っているよ。でも、日本は攻守によくオーガナイズされたチームだったし、スペインと僅差だった」

　先のモレナッティ氏と同じく、日本のオーガナイズを褒めてきた。だが、結果につながる差はどこにあったと見ているか？ 彼とはこんなやりとりをした。

たしかにタケはいるよね。ただ、日本代表には…

――でも結局、日本は負けた。

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