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「本来なら3-2で日本だ」五輪金メダルのスペイン記者2人から聞いた“日本サッカー本音評価”「タケ(久保建英)はいるけど足りないのは…」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byMutsu Kawamori
posted2024/08/12 11:04
パリ五輪サッカー男子準々決勝、スペイン戦でプビルと競り合う藤田譲瑠チマ。スペイン人記者の目には日本サッカーは、どう映る?
「とはいえ日本は本当にどんどん成長している。それは僕だけでなくて世界中が知っていること。カタールW杯ではスペインに勝つ前にドイツにも勝っていたし、その実力、成長ぶりはみんなが認めているよ」
――それでも足りないものがあるとしたら何?
「うーん……日本代表に本物のスターがいないことじゃないかな? スターというのは、全体のレベルを上げるのに関係していると思うんだ」
――そうかな? あなたが知っているように、日本にはタケ(久保建英)がいる。スペインでも人気、実績のある選手。彼はスターではない?
「たしかにそうだ。でもタケだけだし、彼がプレーしているレアル・ソシエダっていうのは良いチームだけどスペシャルなチームではない。スペシャルなチームっていうのは、レアル・マドリーとか、バルセロナとかね。そういうところで活躍するスターが出てくることが必要だ。あとは国内のリーグのレベルを上げること。この2つがあればさらに上のレベルにいけるのではないかな」
まさにそういうこと。自国リーグ、スターの出現だ
――Jリーグのレベルは低い、と?
「低いとまでは言わないけれど、欧州のリーグの比ではないでしょう? この大会で決勝まできたスペインにもフランスにもそれぞれ充実した国内リーグがある。それこそ大事なことなんだと思っているよ」
――ああ、だから男子決勝はスペイン対フランスだった。モロッコもエジプトも良いチームだけど勝ち切れず3位決定戦に回ったということ?
「イグザクトリー。まさにそういうこと。まずは自国のリーグ、そして牽引するスターの出現というのが日本に必要なことだと思うよ」
2人に共通していたのは、3-0という結果は出来過ぎであり、オーガナイズとチームビルディングに好印象を抱きつつ、個人の印象は残っていないということ。
彼らの言葉に今後へのヒントがあるのかないのかは別の話だが、外側から見た日本サッカーはこんなものなのだろう。個の能力と言われても……と無力感を感じないでもないが、原点に立ち返るしかないのだろうか。
決勝では延長戦にもつれ込んだものの、技術的にも戦術的にもスペインが一枚も二枚も上手で、金メダルをつかみ取った。先月EURO2024で優勝したA代表には、ヤマルやニコ・ウィリアムス、ペドリといった五輪にはこなかった優秀な若手もいることを考えると、今後しばらくはスペインの時代が続きそうだ。
<つづく>