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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
夏の甲子園「朝・夕方2部制」“素朴な疑問”…高野連担当者に記者が直撃「収益が上がるのでは?」「聖域に手を付けた?」質問にどう答えたか
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2024/08/09 06:00
2部制が導入された夏の甲子園。阪神園芸が作業する中で、観客の入れ替えも進んでいた
井本事務局長は開幕直後の3日間だけ、という試みについて「全日程でやるべきだとのご批判もあるかと思いますが、まずはスケジュールに余裕があるところから、となりました」とも説明している。
経費そのものは1日4試合よりも少し膨れるのでは
――今回の試合時間変更、2部制となるポイントはどういうところになるでしょうか。
「入れ替え時に雑踏の事故が起こらず、観客の皆さんがストレスなくスムーズに進めることが大事だと思っています。それに加えて、どうしても間が空いてしまうこと。特に開会式がある初日は1試合だけやって、夕方にもう2試合ですから、開会式に出たチームは、半日ほど経ってから試合をしなければいけない。これがチームに実際にどんな影響があるのか、運営側も試合進行をスムーズにできるのか、懸念材料はたくさんありますね」
――2部制になるとチケットも通しではなく、分けることになる。収益アップになるのでしょうか?
「いえ、夏の甲子園の中央指定席は4200円ですが、入れ替え制にする3日間は気持ちだけ安くして1試合2000円にしています。
どのくらいの経費になるか、いろいろ試算をしているんですが、試合時間が8時からと16時からになったとして、空いた時間は警備も休みにしましょうと言うわけにもいきませんし、その間のメンテナンスも必要ですから、経費そのものは1日4試合をやっているよりちょっと膨れると思うんです」
――3日間が晴天続きであればいいのですが、途中から雨天になったり、ゲリラ豪雨で朝だけ、午後だけダメになるなどのケースも想定されます。
「スケジュールの組み換えはこれまでもあったことですから、柔軟に対応しなければならないでしょう」
――期間中、医師や理学療法士(PT)が待機している体制は変わらないのか。
「体制は変わりません。ただ、試合開始時間が変わることで選手、さらには客席の熱中症なども減ってくれることを期待します。
甲子園の救護室には担当者がいて、毎日利用状況をチェックしていますが、熱中症のほか、飲酒をして気分が悪くなったのではないかと思える人、何のアクシデントかわからない体調不良の人も来ます。3日間、トータルで利用人数が減少すれば、一定の効果があったね、という評価になると思います。そういうエビデンスもしっかり押さえたいですね」
医療のサポート体制はどうなっているのか
――埼玉西武ライオンズは、今季から本拠地のベルーナドームに隣接してMRIなどの装置が整ったクリニックを開設した。ここで故障者、負傷者などを診断しているが、甲子園も医療のサポート体制をさらに充実させる計画はないのでしょうか?