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「これじゃ勝てないってわかっただろ」令和の時代に“昭和の熱血”で勝てるのか…春夏連覇を狙う健大高崎・箱山遥人主将の「ブレない信念」

posted2024/08/08 17:04

text by

田口元義Genki Taguchi

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JIJI PRESS

　群馬大会を制し春夏連覇の挑戦権を獲得してもなお、健大高崎を統率するキャプテンの箱山遥人は目を光らせていた。

「県大会が終わってから、最大の目標である春夏連覇に向ききれていなかったんで」

　箱山はセンバツ優勝の実績に過信しないためにも、この偉業を“通過点”と捉えるくらいの熱量で夏を戦っていかなければ足を掬われると危機感を抱き、チームを牽引してきた。そのため、実に9年ぶりとなる夏の甲子園出場を決めたからとはいえ「向ききれていない」と厳しく評価したのである。

　そんなキャプテンだからこそ、監督の青柳博文は信頼を預けられる。

「とにかく一生懸命なんです。物事に一切手を抜かず、勝っていたとしても必ず足りない部分を見つけて『これでは勝てない』と言えるような選手が箱山なんです」

　健大高崎はセンバツ王者であり、夏の群馬大会でも2度の延長戦を戦い切るなど死線を乗り越えてきた。ひとたびスイッチが入れば、身も心も一気に戦闘モードへと切り替わるチームであることは、箱山自身わかっている。だからこそ、油断させないために選手たちを引き締めていたのである。

　キャプテンがそのことを明確に実感できたのが夏の甲子園の開幕であり、健大高崎の初戦でもある8月7日の前夜だった。

「『まだまだ一緒に野球がしたい』とこれだけ思わせてくれた代はない。負けて終わるのではなく、勝って終わろう」

　ミーティングで闘争心のスイッチを「ON」にする檄を飛ばした、部長の生方啓介が言う。

「センバツで優勝したといっても、どちらかというと苦しい時間をずっと一緒に過ごしてきたので。『一緒に野球をやっていたい』と思わせるだけの人柄が3年生にはあるんで、そういう言葉も素直に出るんです」

　生方が語る3年生の人柄。それを野球に置き換えれば、勝利への執着心だ。ひたむきに、愚直に、泥臭く1点を奪い、守る。

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