ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「守護神コクボを批判したくないが」「フジタは少年時代から…バルサでもできる」トルシエのパリ五輪ホンネ評価「日本はU-23ではトップ10だ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2024/08/07 18:48
今大会、抜群のパフォーマンスを見せた小久保玲央ブライアンと藤田譲瑠チマ。スペイン戦を含むパリ五輪男子サッカーの本音評価を聞いた
「日本はこの大会を通してイメージ通りの統一感と連帯感のあるグループが、素晴らしい守備の組織で前線からのプレスとコンパクトな守備ブロックでゲームをコントロールし、攻撃のトランジションではスピード豊かな展開でチャンスを作り出した。今日の試合ではこれまでよりもさらにコレクティブにボールを保持してチャンスに繋げた。日本は自らの力を十分に誇示したといえる。考慮すべきはスペイン戦が0－3に終わったことではなく、この大会を通しての日本の進化だ。
それからこれも何度か述べたが、選手として卓越していたのが藤田譲瑠チマだ。彼ならバルセロナに入っても十分にやっていける。私も少年時代の彼を自分のクラブに連れて帰りたかった。
もちろん他の選手たちもよくやっていた。山本理仁は好きなタイプだが最後は疲れてしまった。他にも斉藤光毅や三戸舜介や細谷……。細谷は試合を経るたびに成長していった。素晴らしいストライカーになった。山田楓喜もまた成長したし、グループ全体が目に見えて力をつけていった。
だからこそ0－3という結果は残念だった。日本にはサプライズを起こせるだけの武器が備わっていたからだ。結果を出せる要素は揃い、方法もあった。現実の結果は、日本には厳しすぎた。強調したいのは、日本のレベルが劣っているから負けたわけではないことだ。勝敗はディテールで決まった。日本のシュートがポストやバーを叩き、ゴールが取り消されたのに加え、GKのミスにより2点を失った。その結果がこのスコアになったというだけだ」
メダル獲得は十分可能だったが、スペインが
――とはいえスペインには、連係を断たれてもボールを繋げるだけの個の力があったのは事実です。
「その通りだが前半はそこも良く抑えていた。試合は拮抗していたが、日本はチャンスを作り、スペインに自分たちのプレーをさせなかった。局面に顔を出したのは常に日本の選手たちだった。とてもポジティブなことで、日本は戦術的にもとても高いレベルにあった。ビッグクラブに所属する選手を擁するスペインに対しても、拮抗した戦いができたのだから。繰り返すが日本のレベルは高かった。
だからこそ失望も大きい。メダルの獲得が十分に可能だったからだ。準々決勝の相手がエジプトだったら、違う結果になっていたかも知れないが、残念ながらそうはならなかった。スペインは有力な優勝候補だ。日本もメダル候補だったがそのスペインに敗れた」（※その後スペインは決勝に進出し、2大会連続でのメダル獲得を確定させた）
興味深いのはヤマモト、セキネ、キムラ、ヤマダだ
――大会を通しての日本についてはどう評価しますか。
