「大会当初は少しアマチュアのようだった。DFラインは国内組で、コレクティブで規律は高いがしたたかさには欠けていた。しかし試合を重ねるにつれて、強さと逞しさを身につけて選手個々が強くなっていった。山本や関根大輝は今日も素晴らしかったし、木村誠二もそうだ。今日は右サイドが際立っていた。山田も興味深かった。

　このチームにとってとてもいい大会だったという印象を私は持った。残念ながらスペインに敗れたが、スペインは優勝候補の一角だ。日本にとって簡単なチャレンジではなかった。それでも日本には、今日の試合で勝利を得るための武器があった。それは同点ゴールに収斂していったが、VARにより取り消されてしまった。本当に残念だった。ほんの数ミリのことだろう」

――そうだと思います。

「そこはルールを変更して、攻撃側がより有利になるべきだ。アタッカーにアドバンテージを与える改正を施すべきだ」

日本はU-23カテゴリーなら世界トップ10だ

――大岩剛監督についても評価をしてください。

「彼は戦術面で強固な守備システムを構築した。高い位置でのブロックとプレス、それは今日のサッカーの基準に則ったものだ。ボールにプレスをかけるフラットなディフェンスもそうだ。そして後方からボールを繋いでいく。

　選手たちはミスを犯さない。ボールの軌道に沿ってプレーし、ゴールを取り消されても気落ちしなかった。プレーの構築に関してチームはとても野心的だった。またスタッフやコーチ陣も連帯感を保ち、とても素晴らしいグループだったように思う。日本のサッカーを見るのは楽しみでもあった。

藤田を抱きかかえる大岩監督　©Koki Nagahama/JMPA

　日本はU-23のカテゴリーでは世界のトップ10に入っている。A代表ならばトップ15が順当なところだ。五輪という世界大会で日本は、真のアジアの代表であることを示した。そして日に日に進歩していることを」

――メルシー、フィリップ。＜各回からつづく＞