今回から敗者復活ラウンドが導入されるものの、決勝を走る人数に変わりはない。中島が言う44秒台中盤のタイムを出せば決勝進出は可能だ。もちろん佐藤拳太郎と佐藤風雅にも十分にその可能性はある。記録とともに32年ぶりの快挙に期待したい。

メダルの期待もかかるマイルリレー

　ちなみに個人種目だけでなく、4×400mリレーでもメダル獲得に期待がかかる。実際に「個人で決勝。リレーではメダル」という目標を中島は掲げている。

　陸上競技のリレーといえば、近年は男子4×100mリレーの活躍が目立っていたが、今回のパリ五輪では4×400mリレーにも注目が集まっている。日本歴代5傑のうち、佐藤拳太郎、佐藤風雅、中島の3人がそろうのだから、当然といえば当然だ。

　2022年のオレゴン世界選手権では2分59秒51のアジア新記録を樹立し過去最高の4位入賞。また、今年5月にバハマで開催された世界リレーでも4位に入賞している。その一方で、ブダペスト世界選手権は、予選で序盤の出遅れが響き、日本歴代2位をマークしながらも決勝進出を逃した。それほど決勝進出ラインは力が拮抗している。

　世界の勢力図はアメリカが頭1つ抜け出しているが、世界リレーを制したボツワナ、昨年の世界選手権2位の実績がある開催国のフランスも力がある。さらに、イギリスやベルギー、ジャマイカ、南アフリカといった国々もメダル候補に上がる。もちろん日本にもチャンスはある。

「去年よりもさらにレベルは高くなると思っています。まずは予選。決勝でシードレーンを確保できるように、2分58秒台を確実に出して、2着以内を取りたい。そうすれば、決勝も良い位置で勝負できる。まずは予選からしっかり走ることを一番に考えています」

　中島がこう話すように、予選から気を抜けない戦いになるのは必至。さらに、メダルを獲得するには、日本記録（2分59秒51）を大きく上回る2分58秒台のタイムは必須だ。

「オレゴンの時は、ジュリさん（ウォルシュ・ジュリアン）が43秒台（43秒91）で回ってきたのが本当に衝撃でした。それぐらいのラップライムを出して初めてメダルが見えてくるのかなと思います。僕も、ジュリさんに続きたいなっていう気持ちはあります」

　悲願のメダル獲得へ、中島はエースとして、キーマンとしての走りを見せる覚悟だ。