今後については「まだわからないんですけど…」

　東京五輪が終わった時は「全てがダメだと思った」というが、「（人間は）一人ではないんです。みんなが助けてくれたし、自分を信じてみんなを信じて進んでいけば、どこか光が見えてくる」と力強い。

　これからのことについては、まだ不確かだ。

「今すぐにっていうことはまだわからないんですけど、嬉しさと悔しさというのがあるので、その気持ちを整理してこれから自分がどう思うのかっていうのを待ちたいなって思います」

パリ五輪では、森らしい明るい表情が戻っていた　©Getty Images

　今は将来の決断を保留しているが、「東京の時は逆で、“もう終わった”という気持ちですべてがサーッと降りていくのを感じていましたから、悔しいと思えている自分も嬉しい」とポジティブな表情を見せた。

　自身の演技が終わった後は、控えエリアのイスに座っている選手が多い中、立ちっぱなしで他の選手の演技を見つめた。採点を待つ“キス＆クライ”で喜ぶ選手には笑顔で拍手。とりわけ、1位になったブライオニー・ペイジ（英国）には自ら歩み寄ってハグし、金メダルを称えた。

　一度は失った笑顔をパリで取り戻した。それは、一歩踏み出す勇気を見せた森へのご褒美だった。