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「ガンバ!」「グッジョブ」他国の監督からも称賛の声…宮田笙子は不在でも「5人で戦ってるつもりで」体操女子、選手たちの“笑顔の理由”
posted2024/07/31 17:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
予選の16演技と決勝の12演技を、他チームより少ない4人で最後までやり切った。
パリ五輪の体操女子団体総合決勝が行われ、いずれも五輪初出場の岸里奈(戸田市SC)、岡村真(相好体操クラブ)、中村遥香(なんばクラブ)、牛奥小羽(日体大)が159.463点で8位入賞。開幕前、エースの宮田笙子(順大)が飲酒と喫煙問題で代表を辞退する緊急事態の中、フレッシュな10代カルテットは最後まで奮闘した。
今大会最大の注目を浴びている選手の1人であるシモーネ・バイルズ(米国)ら、世界トップクラスの実力者が居並ぶ決勝。トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、レディー・ガガ、ナタリー・ポートマンらそうそうたるセレブがスタンド観戦する舞台で、4人は一つでも上に行こうと最後まで攻めの演技をした。
「ガンバ!」カナダの監督からも称えられた場面
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最初の種目は平均台。昨年の杭州アジア大会金メダリストである岡村が、予選を上回る13.700点を出して好スタートを切ると、2人目の岸も13.466点でつないだ。3人目の中村は技を3つつなげる箇所で落下のミスがあったが、すぐに切り替えて着地はピタリと止めた。
2種目目のゆかでは、この種目を得意とする岸が魅せた。冒頭に入れたH難度のシリバスで会場を沸かせるなど13.433点。3種目目の跳馬では、スペシャリストの牛奥が高さのある跳躍をきっちりまとめて13.833点をマークした。
最終種目は段違い平行棒。決勝の大トリを任された最年少16歳の中村は、大技の「デフ」や自身の名のついた「ナカムラ」をはじめ、果敢に攻めの演技。途中で車輪が戻ってしまうミスがあったがこらえ、最後まで演じきった。同じ組で廻ったカナダの監督からも日本語で「ガンバ!」と言われたり、「グッジョブ」と言われたりするなど、4人で戦う日本チームのさわやかな奮闘は他国からも称えられた。
試合後、岸は「世界の舞台だからこその歓声や盛り上がり、外国の雰囲気があった。そういうのをすごく楽しめた試合だった」と、興奮冷めやらぬ表情を浮かべていた。