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「娘の結婚式を想像して、もう泣いてます」男子バレー高橋健太郎を支えた家族が願う“金メダル”よりも最高の結末「つらい時を見てきたので…」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKentaro's Family

posted2024/07/31 11:04

「娘の結婚式を想像して、もう泣いてます」男子バレー高橋健太郎を支えた家族が願う“金メダル”よりも最高の結末「つらい時を見てきたので…」<Number Web> photograph by Kentaro's Family

試合後、会場に駆けつけた4歳と2歳の娘を抱き上げる高橋健太郎(29歳)。コートで見せる表情とはまた違う笑顔だ

 健太郎には伊織さんだけでなく、援軍もいた。「辞めるな」と励ましてくれる東レアローズや日本代表で共にプレーした先輩、仲間たち。その中には、健太郎と同様に東京五輪の出場を逃し、2021年7月に現役引退を発表した福澤達哉もいた。今や健太郎の武器である「ブロック」と向き合い、飛躍的に向上させるためのきっかけを与えてくれたのが福澤だった。

「『日本代表やオリンピックも1つのモチベーションかもしれないけど、“極めていく”ということをモチベーションにしてもいいんじゃない?』と福澤さんに言われたそうです。それから『ブロック、頑張ってみようかな』と言い始めた。映像をすごく見るようになったり、トレーニングをしたり。あの頃から向き合い方が変わりました」

 その成果が直結したのが、東京五輪後の2021/22シーズンのVリーグだ。圧倒的な数字を残し、ブロック賞とベスト6を受賞。より本格的にバレーボールへ打ち込むために、プロ選手として活動していくほうがいいのではないか、と考え始めたのもこの頃だった。

 翌年、日本代表登録選手に選出され、ネーションズリーグに出場。だが、その後の世界選手権への出場は見送った。ちょうど次女が誕生したこともあり「育休」と報じられたこともあったが、「それは少し違います」と伊織さんが笑う。

「ケガもあったので、しっかりトレーニングをして臨みたいという気持ちが3割。次女が生まれるタイミングだったので代表より家族を、という気持ちも3割。巷で言われるような育休ではないですよ(笑)。でも根底には、プロとしてやってみたい、という思いもあったから、自分の身体に対してもっと目を向けたい、という気持ちも強かったはずです」

「明るい性格」「でも、実は繊細」

 日本代表では常に明るい盛り上げ役。フィリップ・ブラン監督や甲斐優斗の誕生日が親善試合と重なった時は、率先してマイクを持ち「ハッピーバースデー」を歌うのは健太郎の役回りだ。だがその一方で、性格は繊細で慎重。周囲が抱くイメージとは「まるで逆です」と伊織さんも強調する。

「たとえばプロになるかどうするか、という話をしている時も『プロになる』と言ったかと思えば、次の日には『プロにならない』と言い出す。あまりに何度も繰り返すから、言ったことがあるんです。『健太郎って、石橋を三回叩いても渡らないタイプだよね』って(笑)。たぶん周りの方々からすれば、ガシャガシャ崩しながら渡りそうに見えると思うんですけど、全然違う。この橋は絶対に大丈夫だよと言われても『今日はやめておこう』と渡らない。それぐらい、決断に時間を使う人です」

【次ページ】 プロ転向の決断にも妻の後押しが

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