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「娘の結婚式を想像して、もう泣いてます」男子バレー高橋健太郎を支えた家族が願う“金メダル”よりも最高の結末「つらい時を見てきたので…」
posted2024/07/31 11:04
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kentaro's Family
2024年6月24日。パリ五輪に出場する男子バレー日本代表、交代要員を含めた13名が発表された。
ネーションズリーグフィリピンラウンドを終えた直後に、現地からフィリップ・ブラン監督がオンラインで会見に臨み、選考理由や経緯を述べる。同時に、選出された選手たちのコメントも発表された。
それぞれが五輪への決意や目標に触れる中、ミドルブロッカーの高橋健太郎はこう記した。
「一時期は引退を決意していたところからこうしてオリンピック日本代表選手に選出していただき、妻や子どもたち、私の両親、妻の両親、そしてこれまで関わってくださった皆様に感謝を伝えたいです。金メダル獲得へ向け頑張ります」
2019年に結婚した妻の伊織さんとの間に、2人の娘を授かった。東京五輪へ向けて邁進していた頃に誕生した長女。そして、五輪出場の夢が破れ、それでもまた前に進んで行こうと決意した頃に誕生した次女。
日本代表として、一人のミドルブロッカーとして「極める」ことを決め、再び世界を目指すと誓った。そんな高橋にとって、家族は何よりの原動力でもある。
「誰かのためにじゃなく、自分のために」
高校生の頃に掲げた「東京オリンピック出場」という目標は、期待してくれる人たちに応えたいという思いが先行していた。でもそれは叶わなかった。だからこそ、もしも、もう一度バレーボール選手として、3年後のパリ五輪を目指すなら――妻の伊織さんは1つだけ、健太郎と「約束」をした。
「誰かのためじゃなく、自分のために、自分の目標を叶えたいから挑戦してほしいと言いました。“東京がダメだった分もパリで”じゃなく、自分のため。そうじゃないと、また同じことになるよ、と彼には伝えました」