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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「また背が伸びてない?」パリ五輪代表“192cmの逸材CB”高井幸大19歳とは何者か?「宮本会長もイチオシ」“急成長のウラ側”を本人に聞いた
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/07/24 11:04
サッカーパリ五輪代表メンバーで最年少の高井幸大(19歳)。五輪を前にNumber Webのインタビューに応じた
試合後のミックスゾーンでは、コーチングを徹底できなかった自分に矢印を向けて悔やんでいた。センターバックが出て行けない局面では、ボランチやサイドバックを自分がもっと声で動かさないといけなかった。それを徹底できなかったことで失点を招いた、と。高井はそうした場面で感情を発露する姿を隠さなくなり、失点後は味方を鼓舞するように手を叩き続けた。
高井幸大が触発された“あるドキュメンタリー”
では、試合中に感情を出すようになったきっかけは何だったのか。
実は、あるドキュメンタリーに触発されたのだという。
「海外の試合を見ていると、言い合いをたくさんしていますよね。マンチェスター・シティのドキュメンタリーを見ても、感情を出してサッカーしているんだなと思って」
高井が見たマンチェスター・シティのドキュメンタリーとは、今年春にNetflixで配信された『Together: Treble Winners』のことだ。
2022-23シーズンの同チームを追ったもので、プレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグと、史上5チーム目となる歴史的な3冠達成の軌跡を描いた作品である。
練習場やロッカールームなどにカメラが密着。映し出されているのは、勝負の世界に生きるフットボーラーたちのリアルな舞台裏だ。サッカーの歴史に名を残すような常勝クラブであっても、毎試合容易に勝ち続けているわけではない。勝てなかった試合後のロッカールームでは、ジョゼップ・グアルディオラ監督が「自分たちで問題を起こし、失敗すれば下を向くのか?」「自分の責任をしっかり果たせ!」などと容赦なく選手たちの姿勢を問いただす。
その中で高井の目を奪った選手がいる。
ディフェンスリーダーであるポルトガル代表のルベン・ディアスだ。世界最高峰のDFと称される存在で、3冠の立役者の1人でもある。センターバックとしてチームを高いレベルで安定させ続けている彼の振る舞いを、高井は注視していたのだという。
「ディフェンスの選手は結構見ていたんですよ、ディフェンス目線で。ルベン・ディアスは味方のプレーを拍手で称えたりして、すごく良いことだなと」
世界トップレベルの選手たちは、プレッシャーがかかった試合でもミスをしない。ただし、マシーンのように淡々とプレーしているわけではない。卓越した技術と拮抗するだけの熱量もピッチで表現していた。ルベン・ディアスは味方を励まし、ときに厳しく叱咤しながら、最強軍団の守備を統率していた。