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MVPが45分で負傷交代→イングランド逆転の流れと思いきや…“EURO名人”スペインの勝ち筋「ファンの愛に触れたい」「この集団を誇りに」 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byMutsu Kawamori

posted2024/07/15 17:01

MVPが45分で負傷交代→イングランド逆転の流れと思いきや…“EURO名人”スペインの勝ち筋「ファンの愛に触れたい」「この集団を誇りに」<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

「逆転のイングランド」にも屈せず勝利したスペイン。7戦全勝の優勝はEURO名人とも言っていい戦いぶりだった

 厳しい状況に陥っても、今のイングランドからは「オーラ」を感じると言ったのは主将のケインだ。またワトキンスは「チャンピオンズリーグにおけるレアル・マドリー」を引き合いに出して、現在のスリーライオンズの勝負強さを語っていた。再び大声援を送り始めたスタンドのファンも、似たような気持ちだったはずだ。

しかしスペインは落ち着きと主導権を取り戻した

 ところが、時間の経過と共にスペインが落ち着きと主導権を取り戻していく。ロドリの代役という大役を任されたスビメンディが、中盤でパーマーからボールを奪うと、ウィリアムスが快足を飛ばして逆襲を仕掛ける。そこからダニ・オルモに渡り、最後はフリーのヤマルが鋭くゴールを狙うも、ピックフォードが懸命に防ぐ。

 このプレーの直後、1年以上ぶりに代表で先発したレフトバック、ルーク・ショーは両膝に両手をついて、肩で息をしていた。ハムストリングの問題を抱えながら、サウスゲイト監督が「必要な選手」として招集していたショーは、これが代表では昨年6月以来の先発。前の試合の3バックから4バックへ変更したことに伴う抜擢かもしれないが、ひと回り年下の快活なヤマルを向こうに回し、マッチフィットネスが限界に達していたように見えた。

 またショー以外のイングランドの面々からも、疲労の色が濃厚に滲み出していた。過去3大会の決勝はすべて、休養日の多かったチームが勝っている──戦前の論点のひとつが、ここにきて足が止まり始めたイングランドの要因にも見えた。

スペインの“10年強化計画”がついに実った

 そして86分、アルバロ・モラタに代わって前線に入っていたミケル・オヤルサバルが大仕事をやってのけた。中央のオルモから縦パスを受けたオヤルサバルがダイレクトで左のマルク・ククレジャへ渡すと、ワンタッチの折り返しに滑り込んで決勝点。オフサイドラインのギリギリのところから飛び出して決めた見事な一撃だった。

 イヴァン・トニーを投入したイングランドは最終盤、パーマーのCKからデクラン・ライスがパワフルなヘディングを放つもセーブされ、そのこぼれ球をマーク・ゲイヒが頭で押し込もうとしたが、ゴールライン上でオルモの頭に防がれてしまった。

【次ページ】 スペインに戻ってファンの愛に触れて…

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