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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ファンが成長してマウンドに「自分が感動しています」…リアル"フィールド・オブ・ドリームス"のDeNAルーキー石田裕太郎は「緊張しない男」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2024/07/15 11:03
9日の中日戦、球団初のデビュー4戦4勝をかけて先発した石田。勝利投手の権利を持って降板したが、惜しくもその後追いつかれた。チームは延長戦オースティンの一発で勝利
「コントロールがあってのピッチングだと自負しています。調子が良くなくても、ある程度ゾーンの中を通せるのは自分の売りだと思っているので、コントロールに関してはあまり崩れることはないと思います」
女房役・山本祐大も太鼓判
デビュー戦以来バッテリーを組む山本祐大は、石田の投球について次のように証言する。
「本当、真っすぐは素晴らしいものがありますね。受けていてボールは強いし、落ちてこない。コントロールはもちろん、足の上げ方を2段モーションにしたりクイックにしたり、バッターのタイミングを外しながら投げることができる。普通それをやると球が弱くなったりするピッチャーが多いんですけど、裕太郎はブルペンからそれをやっていて、すごく意識が高い、いいピッチャーだなって」
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打者の様子をつぶさに窺い、呼吸を読み、タイミングを外す。石田は笑みを浮かべて言う。
「ちょっとズルいかもしれませんが、そこからバッターを崩していくピッチャーだと自分のことを思っているし、持ち味だと考えています」
さらに投球テンポが非常にいいのも特長だ。
「自分はあんまり投球間隔が長引くのが好きじゃないんですけど、時に投げ急いでしまうこともあるんです。これも入来コーチに言われたことなんですけど、ピンチの時は逆にゆとりを持って時間を使っていいんだよって。そのアドバイスを頂いてずいぶん楽になりましたね」
「謎の変化球」論争に本人が結論!?
そして変化球は、しっかりと曲げられるスライダーに加え、それと対になる落ち球。よくフォークやスプリットと表記されることもあるが、石田いわく「シンカーです」とのことだ。球速帯を変えるなど、このボールがピッチデザインにおいて非常に有効に作用している。
「握りとしては挟んだりもしているんですけど、フォークだと意識すると落とさなきゃいけないと考えてしまうので、動けばいいやぐらいの感じで投げています。もう一種類ぐらい変化球が欲しいなって思いますけど、今は耐えて辛抱して、今使える球種で頑張っていきたい。今は成長させていただきながら投げさせてもらっているので、小手先に走ることなく腕を振っていきたいですね」
石田という投手と話をしていて感じられるのは、"心技体"を兼ね揃えた総合力の高さである。ストレートを軸とした球種やコントロール、再現性、メンタルの強さ、そして駆け引き。ルーキーらしからぬ聡明でインテリジェンスに長けたピッチャーと言ってもいいだろう。しかも、まだまだ成長中。果たしてどんなピッチャーになっていくのか、これからが楽しみだ。
<つづく>