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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
ファンが成長してマウンドに「自分が感動しています」…リアル"フィールド・オブ・ドリームス"のDeNAルーキー石田裕太郎は「緊張しない男」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2024/07/15 11:03
9日の中日戦、球団初のデビュー4戦4勝をかけて先発した石田。勝利投手の権利を持って降板したが、惜しくもその後追いつかれた。チームは延長戦オースティンの一発で勝利
「連敗していましたし、ここで抑えることができたらすごいなってぐらいの気持ちだったんです。正直、勝てるとは思っていなかったですし、5~6回を3失点ぐらいで行ければいいなって。それぐらいの気持ちで臨めたのが結果的に良かったのかもしれません」
初登板も「緊張しないタイプなので」
しかし、さすがに初登板ということもあり緊張したのではないだろうか。そう問うと、石田は、まだあどけなさが残る表情で答えた。
「いや、なにも感じなかったんですよ。試合前は全然緊張しないタイプなんです。学生時代に緊張すると力んだりして、いいことがなかったですし、ある日をきっかけにリラックスして投げようと切り替えたら結果が付いてきたので、緊張することを止めたんです」
緊張という精神状態を拭い去ることは至難の業だと思うが、それができてしまうのが石田の特異なところなのだろう。これはプロとして大きな武器である。
「それよりも登板3日前から一軍に合流したのですが、入団してから一軍クラスの選手の方々と面と向かって話す機会があまりなかったので、挨拶をする方が緊張しました」
元ファンらしいことを石田は言うと、はにかんだような表情を見せた。
「マダックス」も達成、チームの流れを変えた
このプロ初登板を石田は5回1失点で収め、初勝利を挙げる。悪い流れを断ち切ったと同時に、チームはここから交流戦が終わるまで7連勝を遂げ、貯金を作ることに成功した。そして交流戦最終試合となった6月16日の西武戦(ベルーナドーム)に石田は登板し、驚くべきことに初完投初完封に加え95球で投球を終えマダックスを達成。石田の存在が確実にチームの流れを変え、勢いを与えることになった。また、この日は父の日であり、球場へ観戦に訪れていた父親に最高のプレゼントを贈ることができた。
ここまでの戦績は4試合に登板し、3勝0敗、防御率2.19。まだプロとして歩み始めたばかりだが、石田自身ここまでやれるとは思っていたのだろうか。