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男子バレー西田有志(22歳)のスゴさとは? 清水邦広が面食らった“物怖じしない世代”のコミュ力「スーパーアグレッシブです、あいつは(笑)」
posted2022/09/05 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kiyoshi Sakamoto/AFLO
「見ていてめちゃめちゃ楽しい。純粋に一視聴者として楽しんでます」
男子バレーボールの日本代表が今、スロベニアで世界選手権を戦っている。約1年前まで、その中にいた清水邦広(パナソニックパンサーズ)は、本当に楽しそうに後輩たちを見守っている。
「個々の力が、昨年より全員パワーアップしていますね。1人1人の長所がさらに伸びて、それがチームとして噛み合い、強さを発揮できているんじゃないかなと思います」
8月26日に開幕した世界選手権で、日本はカタール、キューバに勝利。ブラジルには 0-3で敗れたが、2勝1敗で1次ラウンドを通過。16チームによる決勝トーナメントで、9月5日(日本時間6日)にフランスと対戦する。
日本は、昨年の東京五輪で29年ぶりに予選ラウンドを突破しベスト8入りを果たした。今年6〜7月に行われたネーションズリーグでは、強力なサーブを武器に予選ラウンドで9勝3敗と大きく勝ち越し、5位に躍進した。
東京五輪でフランスを初の金メダルに導き、現在はVリーグのパナソニックを率いるロラン・ティリ監督は、ネーションズリーグを視察した際、「日本はこの10年間でもっとも進歩したチームだ」と語っていた。
清水は、その変化と進化をずっと渦中で体感してきた。
“変化”を感じ始めた2014年
10年前の2012年、日本男子はロンドン五輪出場を逃した。清水が、代表生活の中でもっとも苦しかったと回想した年だ。
「(2008年の)北京五輪に出場して、そこで1勝もできなかったので、今度は僕や(同学年の)福澤(達哉)が中心選手になって勝とうとやっていた。でもいざ五輪予選を迎えたら全然勝てなくて。『全然オレら弱いやん』『オレたちの力じゃダメだ』って……あの時は一番つらかったし、悔しかった」
もがいても、もがいても、勝ち方がわからない。そんな時期だった。
だが2014年、潮目が変わり始めた。当時大学生だった石川祐希や柳田将洋、山内晶大、高橋健太郎らが代表に加わり、15年のワールドカップでは強豪と接戦を演じ、久しぶりに満員になった会場を沸かせた。16年リオデジャネイロ五輪最終予選では敗退したが、清水の心境は4年前とは大きく違っていた。
「結果的にオリンピックには行けなかったんですけど、石川や柳田が出てきたりした中で、やっていてめちゃめちゃ楽しかった。それまで勝てなかったチームに勝ったり、少しずつ結果も出てきて、もっとこのチームと一緒にやりたいという思いがすごく強かった」
その後は、石川に加え柳田、福澤、古賀太一郎など海外リーグでプレーする選手が代表に増えたことが日本の成長を加速させた。
そして、清水の言う「物怖じしない世代」の登場である。西田有志や高橋藍、大塚達宣といった選手たちだ。