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「ピンポン球みたいに飛んでいくなあ」中日・今中慎二が語るバリー・ボンズの衝撃…星野仙一監督の“不可解な激怒”に「ヤバい…戻りたくない」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byBungeishunju
posted2024/07/09 17:00
2001年にシーズン73本塁打という記録を打ち立てたバリー・ボンズ。初対戦の衝撃を中日・今中慎二が語った
周りにも心配された。
「大丈夫か? 日米野球なのに怒ってるぞ」
不安は的中した。試合直後、今中はめったに話すことがない星野に怒鳴られた。
「部屋、来いっ!」
向き合うと怒声が降りかかってきた。
シーズンオフに行われる日米野球は和気藹々とした親善イベントの性格が強い。
それでも、星野は本気だった。
記者の前でも憤りは収まらなかった。
《まだまだ自分が力不足だと分かっただろう。沖縄で鍛え直さなあかん》
「カーブ、投げさせてくださいよ」
今中はその日の夜、秋季キャンプ地の沖縄にとんぼ返り。すると予期せぬ練習が待っていた。投げさせてもらえないのだ。朝から日が暮れるまで、ずっと走っていた。
星野が命じたメニューだった。
日米野球から10日後、千葉でセ・リーグ東西対抗のマウンドに上がった。今中は抑えにいった。速球が走り、状態も上々だ。
だが、リードする阪神の捕手、木戸克彦はストレートのサインしか出さない。首を振っても要求されるのはストレートである。
今中は訝しげに木戸に尋ねた。
「カーブ、投げさせてくださいよ」
すると、木戸は困ったような表情を浮かべ、打ち明けてきた。
「星野さんに真っすぐしか投げさすな、って言われてるんや」
結局、真っすぐだけで2回を抑えた。
その後も星野には叱られてばかりだった。
だが、キャリアを重ねると、日米野球の時、星野があれほど怒りをあらわにした理由がわかるようになっていた。
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