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甲子園優勝の名門…なぜ勝てなくなった? 現地で見た“まさかのコールド負け”松山商業「愛媛では強いが…」「エースが“1日2試合”登板」揺れる今 

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元永知宏

元永知宏Tomohiro Motonaga

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photograph byIchiro Sugino

posted2024/07/07 06:00

甲子園優勝の名門…なぜ勝てなくなった? 現地で見た“まさかのコールド負け”松山商業「愛媛では強いが…」「エースが“1日2試合”登板」揺れる今<Number Web> photograph by Ichiro Sugino

春は愛媛県大会を制すも…甲子園優勝の「名門」松山商業の今を追った

守備のミス、コールド負け…現地の光景

 7月13日に開幕する愛媛大会では第1シード権を得た。140キロ台半ばのストレートを投げ込むエース・林颯太の評価も高く、優勝候補の大本命と目されている。

 6月最後の土曜日、毎年恒例の明徳義塾(高知)との練習試合が行われた。松山市の中心地にある学校の正門前に、伝統のユニフォームを着た選手が数人立っていた。練習試合の観戦に訪れるファンを迎えるためだ。

 三塁側のベンチ横には明徳義塾の保護者が30人ほど。ネット裏には松山商業を応援する50代~70代のファンが30人ほど集まっている。

 もし甲子園常連校である明徳義塾と互角に戦うことができれば甲子園が見えてくる。そんなファンの希望がしぼむのにあまり時間はかからなかった。

 愛媛ナンバー1投手のストレートは明徳打線に軽々と打ち返され、守備のミスが続いて大量失点、大差をつけられてコールド……。

 わずかな休憩を挟んで行われた2試合目、マウンドに上がったのは第1試合に先発したエース・林だった。しかし、再び明徳打線につかまり、またも大差で敗れた。

「林は2試合目のほうが、力が抜けてよかったね。この時期、相手にケガをさせられんと思うからインコースには投げにくいもんよ。そこをちゃんと攻めれば、カットボールが生きてくる」と明徳義塾の馬淵史郎監督は2020年から指揮を執る大野康哉監督に言葉をかけた。

 昔であれば、「しっかりせんか!」「こんなんじゃ夏は勝てんぞ」という罵声が飛んだことだろう。しかし、熱心なファンも明徳義塾との実力差を認識しているのか、2連敗を嘆く声はもはや聞こえなかった。

現チームの実態…「エースがいい」「秋と春は優勝」

 この試合をネット裏で観戦していた澤田は言う。

【次ページ】 ベンチ外選手も直立姿勢で観戦

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